第71話 対応能力

「木佐山さんこういうの好きなんだね!」

 女子のファッション系の本を開いて話が始まった俺の入るスキは全くないため完全にのけ者扱い。珍しく大和もこないため一人でスマホをいじっている。

 双葉と木佐山は数時間で速攻で仲良くなった。といっても完全に木佐山がある程度情報をもってるから双葉に気に入られるように話を進めているだけだけど。

「双葉さんにはこれとかいいかなと思いますね」

「いやいやこれはかわいすぎるって」

 そして分野自体の知識も豊富なのがまたすごい。目立たないとはいえ友達としては欲しい存在だわ。

「そんなことないですよ。双葉さんのかわいさなら引き立てると思います」

「そこまで言われたら今度着てみようかな」

 朝だけで双葉は9割程度は攻略終了だろう。確実に気に入られている。

「倫太郎おはよ」

「りんたろうっちおは!」

 いつも聞く大和の声とは別に朝からテンションの高すぎる声が聞こえてくる。

「おはよ」

 陽太もついてきた。

「あの二人って仲よかったのか?」

 普段見ない双葉、木佐山ペアの会話を見て疑問に思う大和。

「登校して仲良くなった」

「そんなことあるのか?」

 隣にいる陽太に関してはほとんど会話をせずに仲良くなったけどな。

「友達って自然となるもんだしあると思うよ俺は」

 さすが陽太だ。しっかり自己分析ができている。

「あの子、実行委員に入ってた人かどんな奴なんだ?たしか同じ班になってたよな」

「俺がさぼろうとすると注意してくるような真面目な奴」

 実際は椎崎の仕事を増やさせないためだから真面目ではないけど。

「へぇ。いいストッパーになるってわけか」

「そのいいか方やめろ。さぼれなくなった俺の身にでもなってくれ」

「わっかるわー。俺もスゲー仕事任されて休む暇がないんだよな」

 陽太は同類だった。こいつ同じと思われるのはなんかやだな。

「陽太はうまくさぼってるけどな」

 少し違ったさぼりの実行犯だった。俺より少し優れている。

「っちょそれは普通隠すっしょ」

 なんか似たようなにおいがずっとしている。思われたくないがほんとに同類なのかもしれない。つまり類ともってやつか。

「ならしっかりと仕事をするんだな」

「わかりました」

 この二人は友達というよりは椎崎と木佐山みたいな感じで大和を慕う陽太って感じか。

「あ、そうだ。りんたろうっち。今日暇だろ?」

「実行委員の仕事」

「もちろん終わってから。夜一緒にどっかいこうぜ!」

「予定はないがやだ」

 陽太と夜を一緒にすることで椎崎のおいしい夕食が食べれなくなる。これをプラスとマイナスで考えたらマイナス寄りのイベントだろ。俺にいい点が見つからない。

「俺もいくぞ」

 大和もくるか。それなら少しいいかもな。いやそれでもマイナスだな。

「実行委員の仕事したら疲れるし早く帰りたい」

「疲れなければ来るってことでいいか?」

「もちろん」

 疲れなかったとしてもすごく疲れた様子見せて帰る。どうなっても俺に負けはない。

「よしわかった。終わったら連絡くれ」

 大和がなんか笑顔を保っている。なにか回避するすきでも見つけたのか。ま、どっちにしても椎崎ルートは確定してるからいいか。


「椎崎さんすこしいいかな?」

「紅さんどうしました」

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