第72話
放課後になるとまた実行委員の仕事がやってくる。
「今日も機材関係のチェックよろしく」
俺たち1年3人はそこまで大変でもなく危険でもない小道具的なものの確認になった。
今日はめいいっぱい疲れて夜の誘いを断ることにしよう!
「それじゃ進めますか。今日は…」
昨日同様に椎崎が仕切る形で始まった。
「はい」
俺に資料を渡してきた。
「これは?」
「過去の帳簿などです。現状確認したものに抜けがないか確認してください」
「それはお前らが向いてるだろ」
数字は苦手だ何が書いてるか理解ができない。
「何かあれば呼びますのでお願いしますね」
圧を感じる。これは従わないといけないやつだ。
「分かったよ」
「お願いしますね」
2人は倉庫の方へ行ってしまった。
ページを開く。過去に足りずに補充しているもの等が記載されている。これと照らし合わせて。思ったより単純な作業で助かる。これなら楽して過ごせそうだ。毎日これくらい手抜きの仕事であれば実行委員の肩書を得た上で何もしないってことになるな。名前だけ手に入れるとか最高じゃん。
だが、俺はふと思ってしまった。これ全然疲れる仕事でなくないかと。今日の俺はやる気に満ち溢れている。だがこの環境。椎崎の圧から引き受けたとはいえ疲れるなんでできるのだろうか。これも仕事だ。一生懸命やればきっと大丈夫だ。
毎年毎年、ほとんど同じようなものが足りずに買いたしてる感じだな。これ見たところでほかに確認が必要なものなんて出てくる気がしない。重ねて眠気が襲ってきた。まずい。単純作業すぎてやばい。抗おうとするが睡魔は俺を侵食していく。力が抜ける感覚を感じる。
「もうダメだ」
立ち上がり走り出す。2人のいる倉庫へ!
勢いよく扉を開ける。
「どうしたんですか?」
それに驚く椎崎。
「だめだ飽きた」
「飽きた?ちゃんとした仕事の一つなので真面目にやってください」
「俺がこっちやるからどっちか役割変われ」
俺にデスクワークが向いていないことが確信した。働くなら体を動かす職業だな。
「まったく。お願いできます?」
「仕方ありませんね」
木佐山が変わってくれるようだ。ありがたい。
「椎崎様に何かしたら許しませんからね」
すれ違うときに物騒なことを言ってきた。
「するかよ」
「健太郎くんほんとに大丈夫なんですか?」
学校で2人きりになったら名前に切り替えるようだ。さすがに無防備だろ。
「何がだよ」
なんで俺を心配してきたのだろうか。椎崎に心配されるような失態はしてないと思うが。
「紅くんから聞きましたよ」
大和から聞いた。嫌な予感しかしない。
「俺はあいつに何も話してないが」
「とぼけても無駄です。きっと女子相手には無理すると聞いてるので。いい友達もちましたね。今日は休んでいいですよ」
「お前大和から何を聞いたんだ?」
「足の不調と」
なるほどな。だいたい理解できた。
「俺は怪我してないし健在だ」
「でしょうね。何か面白そうな目的があると思ってのりました。バレてもいいですけどどうします?」
今日の放課後疲れていなかったというのを上手く使われたな。そして、ここで嘘だと発覚する方はそれで大変だ。木佐山への情報を送るようなものだ。自分の体的にも大和は嘘をつかないキャラもあって少しでも噂が生まれたら第三者の介入はまぬがれない。
「お前の飯食えないが仕方ないか」
「??」
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