第18話 共に過ごす夜
今日のナポリタンも最高においしい。香りに恥じないおいしさだ。
「やっぱなんか悪いな」
こんなおいしいものを作ってもらって俺はこれに担うことをまったくしていない。罪悪感がはんぱない。
「気にしないでください。私がしたいことなので。それより、テレビあるんですね」
「あるけど」
はしをおきテレビの方に向かう。
「動きますか?」
「動くぞ。見たい番組でもあるのか?」
「…あります。七時から。あの見てもいいですか?」
「ご自由にどうぞ」
「ありがとうございます。ではさっさと食べましょうか」
席に戻るとナポリタンをもくもくと食べ進めていく。
「ごちそうさまでした。では、またあとでで」
食事を済ませると家に帰っていった。
しばらくすると扉が開き椎崎が入ってきた。その光景に驚きを隠せずにいた。
服装は制服から部屋着になっており、手元には複数の動物のぬいぐるみをもっている。
「倫太郎君も隣りに座ってくれると助かります」
「お、おう」
恐る恐るソファーのもとにむかい椎崎の隣に座った。
「倫太郎君はこれを。もっててください」
ペンギンとライオンのぬいぐるみを俺の膝に置いてくる。椎崎の方はウサギとかばのぬいぐるみをもっている。これを見る限りお目当ての番組はアニマル特集系だろうな。
「最新鋭、機械はここまで進化した。歴史で学ぶロボット特集!!」
テレビから聞こえるタイトルコールとタイトルロゴ。俺の耳も目も間違っていないようだ。
「まてまてまて」
「どうしました?」
「アニマル系の番組みたいんじゃないのか?」
「?」
何を言ってるんですっかといわんばかりの顔をしてくる。
「これですか。これは普段一緒にいるぬいぐるみってだけですよ。あなたも一緒に見るんですから仕方なく貸してあげます」
そもそもロボット特集なんて見るような趣味があることに突っ込みをしたいところだがこれいじょうやめておこう。俺が疲れるだけな気がする。
最初の特集は調理ロボットだった。半無人の食事場があるらしい。そこではタブレット形式で注文をする。すると厨房のほうでロボットが動き出す。食材を取る、食材をお湯に入れる。食材を温めるなどひとつひとつに専用のロボットが用意されている方式だ。
そして完成すると運ぶロボットが動き出し店に届くというものだ。会計も無人であるため管理用の人がいるだけで済むという近未来で広がりそうな技術だ。
「レパートリーは多くないがすげーな」
「私だったらご希望の料理を提供しますよ。しかもこれよりも安いお値段で」
自慢げにうったえてくる。
「なんでそこ張り合うんだよ。店と個人では全く違うだろ」
「それはお金だけです。クオリティとかを考えたら私が最適です」
ぬいぐるみを抱えてたから気づかなかったが見えないようにメモ書きしてるな。ぱっとみメリットとデメリット、自分が勝っている点をまとめている。このロボットの発展にいっしむくいたいようとしているようだ。
「でも、AIでその人に最適な味に調整とかされたら少し厳しいですね。二回目以降ならまだしも初見であればロボットのほうが細かくできると思います」
さらにこれからの予測もしっかりしている。ただのロボットオタクってわけではなか。
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