第83話 回復の椎崎
椎崎姉からの急な報告により俺の人生は大きく変わった。椎崎と結婚と考えると勝ち組コースに思える。だがこの勝ち組コース。裏には椎崎姉という存在があることだ。ぱっとみだけでも椎崎が圧倒されてる存在だしそれと向き合う必要がある。問題がありすぎる。
「あ、あのー」
椎崎の声が聞こえてくる。今度はどっちだ。時間的に本物だと思うが椎崎姉が俺をもてあそんだってこともある。
「あの。開けてくれませんか?」
今日の椎崎の様子的にこのテンションは違う。やはり姉だと思う。
ガチャン
姉がどうとか関係なく出てこなければまたいじられるだろうから開けざる追えない。
扉の奥には小さくおびえたような椎崎本物がいた。少し安心できる。
「お前かぎもってるだろ」
「…」
椎崎姉がいっていた修正って意味がだいたいわかった。あの人がどんな手を加えたかはわからないが自分の間違いに気づいて我に返ったようだ。とりあえず心配していたことは回避できてよかった。
「いったん中入れ。話はそのあとだ」
いまこの場では話ができないというのはいつものことだ。
「ありがとうございます」
リビングに向かうと椎崎はそのままキッチンほうに行き料理を始めた。
「あのさ」
「…」
ずっと黙っている。空気は重いがどこか安心している頭の整理が追いついていないからうまく話せないだけでいつもの椎崎な気がする。俺も待つとするか。
「できました」
回鍋肉、油淋鶏、春巻き。料理の力量がいつもよりはんぱない。
「今日なにがあったんだ」
「…」
目をそらすご飯を口に入れる。
「別に怒らないから話してくれないか」
「…」
体も俺の方からそらしだした。すごく食べづらそう。どうすればしゃべるのだろうか。
「ひどいことしました。本当ならあなたと会う権利すら私ない。そんな状況で何ていえばわからないです」
真面目が。権利?だが、これが椎崎って感じがする。
「そんな権利があるならもともとお前とこうして一緒にいる権利がない。それよりあれはなんだ」
「わからないんです。あの時はその思考になっていたというか」
自覚なしというわけか。椎崎姉のいっていた修正。あの人にきけば何かしっているのだろうな。
「覚えてない。信じがたいがお前がいうなら本当だろうな」
「そういっていただけると助かります」
事情はわかった。そのカギを握っているのが椎崎姉なのもだいたい理解できた。
「お前も苦労人だな」
返す言葉が思い浮かばない。俺の考えれる範囲でない。確実に俺の知らない世界がそこにある。
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