第4話 付きまとう少女

 たまに感じることがある。学校に行くのがめんどくさいと。出席日数的に休んでも問題ない。だったら休んでもよいではないかと感じる。クラスの連中もそのほうが嬉しいだろうし。よし今日は休もう。さぼってゆっくりするとしよう。

ピーンポーン

 

 こんな朝早くに誰だよ。こんな早くから押し売りしてくる無礼な奴は出る必要もない。居留守をすることにした。


ピーンポーン

ピンポン。ピンポン。


 何度も何度も連打してくる。近所迷惑だろうが。俺がどうなろうとどうでもよいが近所で変な噂をたたれるのはめんどください。仕方ないからでるしかないな。

「誰だよ!!」

 扉を開けると目の前にいるのは制服姿の美咲だった。美咲とは料理を食べさせてもらって以来、会話どころか学校以外で出会うことがなかった。そんなこいつがなんのようだろうか。

「どうも」

 軽くお辞儀をしてくる。誰も見られていなくても一応外ではちゃんとお嬢様ムーブをするんだな。

「なんのようだ」

 美咲が来る理由がわからない。そんな朝からされるようなことがあるわけないだろ。

「学校です」

 その人のことに驚いてしまった。わざわざ呼びに来たということか。そもそもなんで俺が今日学校に行かないことを把握していらるんだよ。

「今日は休む」

 断ればすぐにいなくなってくれるだろう。俺が学校に行かないからといって美咲に影響はまったくないのだから。

「なんでですか?」

 学校にいくのは普通だと問いかけてるように聞こえる。嫌間違っていないけど。間違ってないけど…。

「お前には関係ないだろ」

 それを指図すること自体がおかしいのである。不良がない体調不良だとさっしてくれ。

「ないです」

 さらっと返された。さらに見下された目がある。それが当たり前なのだが嘘でも理由を用意しておけよ。少なくとも美咲は優等生だし。

「ならなんで呼びに来てんだよ」

 しっかりと追及をやめない。しっかりと追い詰めて俺が学校に行かないようにしないと。

「あなたがなかなか外に出ないので。タイミング一緒で誰かに見られためんどうなことになると思うので。いつもはあなたが家を出てから登校するようにしてます」

 あ、でもちゃんと考えてはいるようですね。どうやら俺と遭遇しないようにうまく回避をしていたのだろう。

「それで?」

「?」

 俺の気になることに対して疑問を持つ美咲。俺が何か間違っているのだろうか。

「俺が学校に行かなければ好都合だろ」

 そもそも外を出歩かなければ解決することだ。美咲が俺と会うことを嫌うのなら外に出なければ確定だろ。

「…それは私的要因です。あなたが学校をさぼろうと分かった以上、だまってはおけません」

 ちゃんと優等生である自分を崩す気もないらしい。俺が学校に行かないというのはその優等生がわの自分が許していないのだろう。

「この優等生め」

 彼女のこういうところは正直感心してしまう。俺みたいなやつが学校行こうが全く関係のないことだ。プラスにならないことを彼女はやろうとしているのだ。

「待ってるので準備してください」

 待つ。つまり、俺が学校に行かない限り美咲も遅刻する。そしてその遅刻理由を俺のせいだという。こうなればすべてが終わるのだろう。

「先行けよ」

 それだけは阻止しなくては。そうしないと学校に行くしかない。

「さぼると悪いので。私が遅れた場合どうなるでしょうね」

 すべてをよんだうえで俺が学校行かないといけない状況を作ってきた。やはり侮れないな。

 もっと小悪魔系の顔を見せてきたらいいんだが真顔で言われるとほんとに何されるかわかんなくてこえー。

「わったまってろ」

 遅らせるわけにはいかないしいそいで準備をした。

「ほら、いくぞ」

 外に出たら本当に扉の前で待っていた。何としてでも俺を学校に連れて行こうとしているんだな。

「健太郎君はいつも通りで学校行ってください。私は遠回りするので」

 だが、ここまで待っておいて自分は遠回りをするという美咲。

「それならいつもと違うルートで俺が行く。どうせお前を監視してるやつがいるから違和感覚えさせるだろ」

 ここまで来て逃げるわけにもいかない。とはいえ、美咲に迷惑をかけるわけにはいかない。

「それもそうですね。盲点でした。では、あちらの通りからいってください。そちらの方であればだれとも会わず行けると思います」

「わかった」

 しっかりとルールも把握してやがる。しかも遠回りの中で1番最短の抜け道も使っている。用意周到だな美咲は。嫌違うな。

「おまえ、わざとだろ」

 こいつ俺がここにいたのを最初から把握していたな。だからこうして準備も整えて居る。ほんとこいつは何者なんだろうか。

「・・・遅刻するんでもういきますか」

 一瞬黙り込んだ。図星のようだな。もし俺と一緒になったときに時間ずらすために避けたってことにしておいてやるか。

「わかった」

「ではまた学校で」

 学校では絶対会話しないだろうが。

 俺は彼女の人気によって縛られてしまったようだ。

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