第3話 料理の帝王
美咲と遭遇した俺は荷物を運ぶ手伝いをしたお礼に料理をふるまわれることとなった。助けたといっても階段から家までの距離だけだからかりをつくるって程でもないはずなのだが彼女的には解決をさせておきたいらしい。
「何か苦手ものとかありますか?」
「ない」
「そうですか」
美咲の料理姿とは新鮮だ。普段かかわりをもっていないこともあるが。
だが、料理姿もそこまで魅力的に感じなかった。
「完璧なんだな」
「そうしつけられたので」
彼女以上に完璧って言葉が似あう人はいないと思える。完璧すぎるんだ。とくに楽しくするわけでもなく作業をこなしているようだ。まるでロボットだなこれは。
「言っておきますがこちらが素なので。あなたを嫌っているからこうしているわけではありません」
見せる顔は真顔、態度も自分をいいように見せようとしていない。俺をクズだと思わせるような立ち振る舞い。だが今の姿こそ本来の美咲だという。いつもの彼女を知るものとしては性格が真反対なことに驚きを隠せない。
「俺にはいいのか?」
こんな姿ばれれば男ならまだしも女子人気は一気になくなる気がする。
「私ならあなたをさらに追い詰めることができる。だから無理する必要はありません」
こいつこわ。俺が彼女について広めようとすれば逆に俺を終わらせに来るのかよ。完全に俺は彼女のいのままってわけか。
「お前の悪行だけ広めて学校をやめるか。馬鹿があれそうで面白そうだな」
とはいえ、俺は無理して学校にとどまる気はないから、実際悪い噂広がったのならやめてもかまわない。
!!
あ、今一瞬反応したな。感情がないからこそ想定外の反応されたときの反応がわかりやすいな。
「そんなことしないから安心しろ」
こいつを貶めたところで俺に得することは何もない。
「わかっていますよ」
すぐに表情がなくなる。だが、料理をするスピードが上がっているから動揺は収まっていないようだ。かわいいところもあるようだ。
「できましたよ」
でてきたのは卵の中華スープとチャーハンだった。
「すごいクオリティだな」
普通に店で出てきてもいいレベルの鮮やかさ。香ばしいにおい。
チャーハンを口に入れる。
「うま」
味は普通のチャーハン。だが、そのチャーハンを最大限に生かしている。
「そんなですか?普通のチャーハンですよ」
もくもくと食べ進める俺を見て若干引き気味になる。
「久しぶりにちゃんとした飯食ったてのもあるけどここまでおいしいとは。お前、勉強もできて人づきあいもできる。それに加えて家事もこなせるとかほんとに完璧な人間なんだな」
「ありがとうございます。お片付けのほうは自分でやってください。私は帰るので」
「おう。ありがとうな」
「では、また来ます」
彼女は家をでていった。
いま、また来ますっていったような。っま聞き間違いだろうな。
今のは、嘘でも演技でもなかった。彼は私に近づこうとして褒めたわけではなく自然と口をしたように思えた。私みたいな存在に対しても彼は褒めることをするっていうの。彼は本当に…
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