第五話 転校生は俺と話せる。
椎崎の人気に縛られた俺は休もうと思っていた学校に行くことになった。いったところで変化もなく嫌われ者。彼女とは真反対の生活を送るだけ。学校でさらに嫌われたくらいなら問題ないが椎崎がどんなに嘘をついて悪く言えば普通に事件とか起こされそうだしそれはめんどいため従おうと思った。
俺は椎崎が学校に向かったことを確認し別ルートで学校に向かうことにした。俺と二人で歩いてるところがばれればいろいろとやっかいになるから。追及だけならいいが互いの立場を考えても一緒にいないことが安全にすごせる近道なのだ。
休む気でいたこともありだいぶ学校に着くのがギリギリになりそうだな。椎崎はちゃんはさすがに遅刻しないよな。なんか心配になる。
俺の肩に何かが触れる感じがした。
「あ、あの~」
振り返ると涙を浮かべている女子がいた。制服的に同じ学校の生徒のようだ。顔をみたことないし先輩だろうか。いや、基本顔を覚えてないから同級生でもわからん。
「どうしたんですか?」
「そ、その学校の場所わからなくて~。ついていってもいいですか?」
この時期で場所がわからないか。俺に普通に話しかけくるし転校生だろうか。
「別に構いませんよ。どうせ行くところ同じですし」
「ありがとうございます。私、双葉蒼花(ふたばあおは)といいます!いろいろ事情あってこの時期に転校してきたんです」
すごく元気そうな人だな。
「そうなんですか。俺は草加倫太郎といいます」
このまま退かせた方が後のめんどくさいを解消できそうだが、初日遅刻は避けさせた方がいいと思い連れていくことにした。
「倫太郎君はこの辺に住んでるの?」
いきなり下の名前呼びか。距離感近いな。
「今は一人暮らししてます」
「一人暮らしか…」
どこか暗くなった感じがする。1人暮らしに嫌な経験でもあるのだろうか。
「すごいね。私じゃできないだろうなぁー」
すぐに元気を取り戻した。
「1人暮らしといっても自炊はしないしゲームしてるだけだから」
「1人ってだけで私は不安かな。いろいろと…」
女子だしシンプルに怖いのだろうな。
双葉との会話はものすごく自然だ。警戒されているようにも感じるが俺に近づこうとしてくることは感じる。この感覚は久しぶりだ。
「そういえば、何年生なんですか?」
「1年。たしか2組だったかな」
1年2組。つまり俺と同じクラス。それはまずいかもな。
「学校では俺に話しかけるなよ。このことはなかったことにしてほしい」
俺と仲いいと思われればきっと双葉も嫌われ者の仲間入りだ。そうなれば仲のいい友達を作るのなんて困難になるだろう。それだけは避けたい。
「え、いいの!私の手柄にしちゃって」
そっちにとらえてきたか。
「それでいいよ。初日から1人で学校来れたって自慢してくれ」
「ありがとう。倫太郎君はやさしいんだな」
彼女が能天気でよかった。これであればなんも問題はないだろう。
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