第39話 3人での食事

「美咲さんの料理たのしみ!」

 フォークを持ち座り込む。琴音。本当であればもう帰っている予定だった


 ほんの数分前。

 帰宅した俺たち。美咲も俺に部屋に招待という名目で一緒にいた。

「お前いつ帰るんだ?」

「そろそろ帰るよ」

 夕方になりかかったころだった。

「わかった。なら途中まで送っていくわ」

「りん兄やっさしいー」

 このままみおくって今日は終わる予定だった。

「では、戻ってきたら夕食にしますか」

 椎崎の一言が状況を変える。

「え、どういうこと?」

 まだ椎崎が夕食を作ってくれていることを話していないため琴音が食いついてきた。

「どう説明すればいいですかね?」

 自分の付けた火を俺に押し付けてくる。

「休日は夕食一緒に取ってる」

 本当は平日もだが、そうなると変に怪しまれるためひとまずありえそうな状況にした。

「ずるい。私も食べたい!!」

「そうなると夜遅くなってあぶないぞ」

「なら泊まる。これで解決」

「いやさすがに」

「私は別にかまいませんよ」

「やったー!」

 そして今にいたる。

 椎崎が余計なことを言うから琴音が一泊することになる。問題があるってわけでもないから嫌ではないが…

 琴音は椎崎の可憐な料理さばきに魅了されている。いつも元気だが今は料理さばきをじっと見ているだけ。

「…」

 椎崎のほうはずっと見られて照れているようだ。動きが少し早くなる。


 料理が次々と並んでいく。今日はいつにもまして豪華だ。からあげにエビフライにフライドポテト…油っこいな。

「いっぱい食べてくださいね」

「ありがとうございます!いただきます!」

 エビフライをとりソースにつけて口に入れる。

「!!おいしいです!美咲さん!これすごく」

「ありがとうございます」

 たくさん食べる妹普通にかわいいのだが。

「倫太郎君も食べてくださいね。多分主菜に該当する揚げ物はすぐになくなると思われます」

「そうだな」

 どれもものすごくおいしい。ころもにも味がついているようで何もつけなくても食べやすい。

 隣で椎崎は野菜とゆでた鶏肉を食べている。揚げ物の方には手をだしていない。

「食べないのか?」

「揚げ物得意じゃないので。お二人で食べてください」

 考えてみれば揚げ物が食卓にならんだことなかったな。椎崎自身が苦手だったからさけてきたのか。

「それでこんなおいしく作れるなんて美咲さんすごいですね」

「料理は好きなので」

 好きだけでここまでおいしく仕上げれるならもはや料理人だろ。

「あ、りん兄。それとっておいてたの!」

「放置するお前が悪い」

 後半は俺と琴音の揚げ物争奪戦が始まった。

「俺の残してたからあげ!」

「エビフライの恨み晴らさせてもらうよ!」

 こういう感じも久しぶりだ。

「いいですね。兄妹って」

 

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