裏の彼女を知る俺の話

第62話 チャラ男降臨

今日の放課後。ついに俺と椎崎が学校で交わるときが来た。椎崎は俺に近づく気満々だし不安しかない。いつも通りしゃべらないようにしないとだな。周りの男子の視線が痛すぎるから。最低限の高卒資格はなんとしてでも取るんだ。そのためにも椎崎にからまれても影を薄くするんだ。

「ちゃんと行くんだな」

　わざわざ大和が迎えに来た。俺が逃げると思ったらしい。

「どうせお前に連れていかれるからな。諦めた」

　もちろん椎崎が後ほどつっついてくるだろうから。さぼったほうが俺が拘束される時間が多くなりそうだ。どうせいるだけで仕事をする気はないから関係ないな。

「はは。俺のことわかってきたな」

「俺の嫌がることを好んでやるやつ」

「間違ってはないな」

　自覚あるのかよ。知ってても悪意でなく善意でやっていてくれ。

「や、ま、とさん」

　後ろからすげー大きい声が聞こえてきた。

「お、陽太！」

　誰だよ。こんなチャラ男を学校で見たの初めて見たぞ。

「え、問題児くんじゃね。何なんで二人のいるんだよ？」

　あ、苦手なタイプだ。このチャラ男は陰キャだけどテンション上げて陽キャを偽っている人種だ。普通にしゃべったら真面目なのに明るく振舞ったらものすごく頭が悪くなる。

「俺ら仲いいからな」

「まじかー。大和さんがまさかの人物と友達だったなんて」

　やばい殴りそう。そもそも大和さんってなんだよ。なんでさんづけなんだよ。

「あ、れーでも。君。俺とどっかであったことない？」

　俺に詰め寄ってくる。興味本位が勝ってしまったのだろうが距離詰めてくるの早すぎだろ。

「人違いだろ」

「いっや。俺いろんなやつと絡んでるけど人の顔だけは覚えれるタイプなんよね。絶対あったことあるって」

「陽太。やめろ」

　大和の強い圧を感じた。俺がこういうタイプ苦手なのが知ってるから怒ってるのだろうか。普段見ないような怒り顔だな。

「お、っと。ごめんごめん。気を付ける」

　そしてしゅんとなった。

「一応初対面っぽいし自己紹介しとくか。俺は上野陽太。よ、ろ、し、く！！」

「草加倫太郎だ」

「倫太郎君ねおっけー。それじゃいこうで！」

「そうだな」

　は、こいつも実行委員なのこれから約一か月こいつの顔をおがまないといけないの。普通に嫌なんだけど。

「チェンジで」

「つめてーな。仲良くしようぜ」

　上野は基本うざい人間なんだろうが人としてはいいやつなのかもしれない。悪気なさそうだし。何より問題児と分かったうえで一定のテンションを保てる。むしろ興味をしめしてきた。一生関わる気はないが一般人程度には仲良くしてやろう。