第98話 機械思考人間

 打ち上げパーティーに参加していた俺。突如現れた椎崎の姉で薫さんが登場。俺は椎崎を置いて行って薫さんの車でアパートに戻ることになった。シンプルにわけがわからない状況だな。

「あの」

「何?」

「いろいろと聞きたいんですけど」

 なぞが多すぎる。

「美咲ちゃんから聞いて。許可してるといえば話すから」

「それななんですか。なんであいつはあんな」

 とはいえ。美咲がちゃんと全てを話す気がしない。正確な答えはこの人から聞くべきだ。

「はぁ。その屈しないところは関心する。少しだけ話してあげるか。美咲ちゃんは命令に従順なの。とくに私とお母さまに関しては。最優先お母さま、その次にわたしで命令を聞く。ロボットみたいでしょ」

 ロボット?何を言っているそれはもはや奴隷じゃないか。

「あいつの意思はないんですか?」

「あるかないかじゃなくてひつようない。だから命令に従順な体になったそれだけ」

 この人は何を言っているんだ。それってつまり。椎崎…

「あんたら」

「ひどいっていいたい?でもさ。私と同じ血を持っていながら才能を見いだせなかった。まさに落ちこぼれ。それを見かねたお母さまが高度な人間に作ってあげた。むしろ美咲ちゃんは感謝するべき」 

 その程度のことで椎崎の自由をうばっていうのかよ。

「あんたら。それがいいと思ってるの?」

「それを決めるのは私でなく母。私は悪魔で美咲ちゃんを管理しているだけ。私を説得したところで何も変わらないよ」 

 この人。いやこの家族は椎崎にとって害悪なようなものだ。それで成績を収めてレベルの高い存在になって。絶対おかしい。

「あのそろそろおりていいですか?」

 この人たちとかかわるのは俺のみの危険を感じる。

「だからそんな怖くないよ私。安心して。君に手を出すことはないから大切な原石がいなくなるような行為はしない」 

 原石?俺が。この人の言い分が正しければ俺も落ちこぼれだろう。なのに妹を差し置いてなぜ俺にはそんな擁護をする。

「もういいですさっさとアパートに向かってください」 

 なにも理解できないが一つだけわかること。この人は椎崎の敵であるが俺には味方でいる。そこには何か理由があるのだろう。それも椎崎がらみで。俺が椎崎に何かをしたからか。俺は何かをした記憶がない。だが、薫さんは何かに気づいてしまったのか。

「ほんと君って。警戒してるくせに無防備になって。でも了解。ちゃんとアパートまで送るから寝ていいよ」

 寝れるか。と抵抗したいが今日いろいろあったせいでものすごく眠い。俺は目をつむり眠りに入った。

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