第36話 休憩
琴音を間にして俺と椎崎は倒れた。ようやくの休憩さっきまでずっと気を回しながらだったから何も考えなくていいこの状況はどこか快感を覚える。
「お前も寝ていいぞ」
「寝れると思います?」
手だけを下に向け指を指さしてくる。高いところだ。つまり、怖いとろこではなれないってことなのだろう。
「あっそ」
「倫太郎君こそ寝ていいですよ。疲れてますよね」
「緊張が解けたら逆に疲れが飛んだから大丈夫だ」
椎崎か何かやらかすほうが怖く、それが抜けたことで俺の疲れを回復させた。
「そうですか…それにしてもかわいらしい寝顔ですね」
ものすごく元気ではっちゃけている琴音。だが、一度寝ると全くその様子はなくまるで子猫のような顔となる。すごく幸せそうだ。
「自慢の妹だからな」
「シスコンですか」
その変な目で見るのやめなさい。
「あの一つお願いしてもいいですか?」
「なんだよ」
「その。今日ことなどをほかの人に広めないでくれませんでしょうか。私にも地位があるので」
俺にするような願いとはどんなものかと思ったらこれか。
「安心しろ。俺がどうしようと広まることはない」
「それもそうですね。下手にかしを作る必要もなさそうですね。そもそもそれを捏造とすれば解決でしたね。でもまぁ約束は守ってくださいね。これからも何か変なことを行うかもしれませんがそれも含めてお願いします」
確実に俺がどうこうできる問題ではない。俺が悪口をいえば最悪と俺が言われる。それでも約束するようお願いするとは。
「わかった」
「ありがとうございます。本当に」
なんでこんな空気になるんだよ。
「あの、お二人さん仲よさそうなかすいません」
琴音が目を開けていた。
「おはよ」
「おはよう。椎崎さんも来てくれたんですね」
「あの、美咲でいいです。変な距離とらないでください。そう簡単に縁を切るようなひどいこともしませんから」
「ばれてたんですね。ごめんなさい」
俺がほとんどすべてのことを教えた上げただけだがな。
「よし。言えましたし私下で待ってますね」
そういうとリタイアの札がかかった滑り台上になっているところに向かっていく。
「せっかく来たのに下にもどるんですか?」
「だいぶ限界なので」
さっきまでのギリギリ平常心だった様子から今にでも倒れそうなくらいの表情になっている。
「なら私たちも」
「したいければ治りますので。それに琴音さんの目的はさらに上ですよね。ぜひ行ってきてください」
俺には目で妹についていけとうったえかけているのが伝わる。本当に限界だったのだろう。プライドのせいで昇ることになった。本当ならすぐに降りるつもりだったのだろうが琴音をがっかりさせ距離を取られたから解消させるためだけに昇ったのか。ほんとにどれが本当の椎崎なのかわからんな。
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