第35話 琴音の背中
あと少しで休憩スペースのところに入れるところまできた。椎崎はハの字の橋を渡って以来目をつむる戦法で突き進んでいた。何度も踏み外しては背中を支えていた俺。椎崎を支えることあまり何度も俺は落ちて宙づり状態になっていた。
「え、と」
休憩前最後に待ち構えているのは一本の綱を渡るやつだ!!椎崎の目をつむる戦法はもちろん有効だが難易度が一気に上がる。それに少しでも外せば足が乗らない状況。一歩踏む出す前に椎崎の緊張感は一気に上がっていく。
「あと少しだぞ」
「わかってます!また目をつむって」
目をつむり一歩踏む出す。
「あれ?」
しかし横を向いていることもありうまく紐に足がのらない。
「揺らさないでください!」
そして一本紐であるせいで俺が足を踏み入れるだけで揺れる。二人でゴールが前提の俺らからしたらだいぶ積み状態でいる。
「頑張って一人でいけ。支えれそうにない」
「わかりました。では」
一歩引き紐に足が乗らない状態にする。揺れはおさまる。椎崎は目を開く。
「え、倫太郎君」
後ろを振り向く。目を泳ぎさっきまでの落ち着きは消えている。
「あの足が」
足がふるえだし紐を揺らす。今にも落ちそうだ。
「いくか」
すごく揺れてる状況。今にも落ちそうでめちゃくちゃ怖い。だが椎崎が自ら揺らしてくれているおかげもあり俺が入ることでの揺れは一切気にならなくなっている。
「何も考えず進んでいけ」
「はい。ゴールで待ってます」
周りが見えていないようで俺が真後ろにいるのは気づいてない。こっちのほうが都合がいいこれなら余計に揺れたとしても俺のせいだと思わず余計な情報を入れずに済む。
進んでいく椎崎。怖いものを怖いで終わらせず徐々に進もうとする姿勢は尊敬できる。この地道な行動が今の椎崎を作っているのだろう。今の地位にいるのも納得する。
「大丈夫。大丈夫」
自分に言い聞かせ足を進める。
「あと、少し」
今回は目を開けてることもありしっかり目の前は見えている。
「できた」
踏み外すこともなくゴールできた。
「お疲れ」
「あれ。倫太郎君?」
ようやく後ろに続いていたことに気づいたようだ。
「お前が揺らしてたからついて行けた」
「そうですか。私行けましたよ。すごいですよね」
ものすごく褒めら他そうな顔を見せる。
「最初に比べたらすごい進歩だな」
「ねぇあそこ」
休憩スペース。そこに琴音が寝ている。
「追いついたか」
日に当たり気持ちよくて眠っているようだな。
「俺らも休憩するか」
「そうですね」
椎崎にとっての高いところの恐怖は計り知れないものだとわかった。だが、それでも足を止めることはなく対策を練るのが椎崎美咲なのだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます