第163話 疑いの目
双葉と最寄駅で待ち合わせることになった。
急に呼んでおきながらすぐに喜んでくれて内心嬉しい。
「あ、りんくーん!!」
いつもの元気な声が聞こえてきた。
「お待たせ」
「俺もさっきついたから気にするな」
「そうなんだ」
「今日はいつもと違うんだな」
今日はいつもの明るイメージの服装と違い真面目でおしとやかな人物と感じる清楚な服装だ。
「寒いし急だったからさ」
「似合ってるよ」
「ほんと!!うれしい!!。じゃあ行こっか」
「どこに行くんだ?」
目的地をまだ知らされていない。
「秘密」
「わかった」
時間を潰せるならどこでもいいや。
改札を入り電車に乗った。ちょうど席が二つ空いており座ることにした。
「いやぁ急に驚いたよ」
「悪いな」
「全然!!連絡するか迷ってたからさ。誘ってくれて嬉しい!」
そういってもらえると嬉しいものだな。
「あの時の友達とはどんな関係なの?」
いきなりきついところを聞いてきた。美咲といる時に双葉と遭遇した。幸い双葉は美咲と会ったわけでないから友達と誤魔化していた。あの時納得したと思っていたがその場しのぎって感じか。追求されるとまずいんだよな。
「中学の同級生だけど」
「男?」
だいぶ疑っているようだ。
「そうだよ」
最悪美咲だとバレなければ問題ないが女子といえばいったで厄介なことがありそうだ。
「証拠とかある?」
なぜそこまで追求する。まさか美咲をみられたのか。いやそれなら双葉はまっすぐ聞いてくるはずだ。俺に言わせようとしてるのか?
「そんなに疑うようなことか?」
ここはなんとしてでも回避しなければ。
「りんくんのこともっと知りたいからさ。友人関係とか」
双葉は無意識だろうが彼女の目は興味を示していない。完全に疑いの目だ。しかないか。
スマホを触りだす。
「ほらよ」
俺の数少ない中学の写真から、中学で一応仲良かったやつとの、ツーショット写真を見せた。
「ほんとだ。友達いたんだ…」
「これでいいか?」
「うん大丈夫」
完全に納得はいってないようだな。だが、しっかりと証拠を見せてきたから認めざるおえないってところだろうな。もっとしっかりと警戒した方がいいかもな。双葉なら納得してくれるだろうけど。ここまで嘘をついてきたわけでだし今更知れば逆に疑われて事実すらも信じない可能性がある。
「ほんとに友達いたんだね。やっぱりりんくんはちゃんとしてるね。夏休み前ってどうだったの?」
「学校で話すようなやつはいた程度だよ」
「そかそか」
とりあえず回避はできたな。
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