第81話 予期せぬ来訪者


 家に帰ってからもずっとイライラは続いている。なんで椎崎に対してこんなむかつかないといけないんだよ。今日のあいつはおかしすぎた。俺の言うことに従ってただけでも震えてくる。あいつがそう簡単に自分を変えるやつじゃない。ましてや俺きっかけでというのがありえない。考えれば考えるほどむかついてくる。あいつは何がしたんだろう。今日の夜もくるっていってたし問い詰めるしかないな。さらにねじれたらやっかいになるけど。

 

 双葉から電話がかかってきた。

「あ、でた。大和君から連絡あったんだけど大丈夫?」

 心配している様子だ。大和やから電話がきたところで出るつもりはない。そう考え双葉に伝えたのだろう。双葉は純粋に心配しているだけだと思う。

「少し体調がすぐれないから帰っただけだ気にするな」

「教室でもなんか変だったもんね。昨日何かあったの?」

 結構心配されているな。これは明日はちゃんとしていかないとだな。

「なんもない。夜更かしたせいだと思う」

「お見舞いいこっか?」

「大丈夫。寝れば治る」

 いま双葉と会えばあたってしまう気がする。双葉となら関係が壊れるって程悪くなるとは思えないがより心配かけさせるかもしれない。そうなれば実行委員の作業に影響がでることもあるだろう。それだけはさけないとけない。

「無理しないでね。じゃぁ明日」

「わざわざありがとうな」

「全然!何かあったらすぐにいってね!」 

 双葉はやさしいな。少なからず気持ちは楽になってきたな。


 電話をきろうとした。

「あの。すいません。いますか?」

 一気に危機的状況に陥った。

「ねぇ今別の人の声聞こえたけど誰かきたの?」

 双葉と通話中に椎崎が帰ってきやがった。まだ16時だぞ。なんであいつも帰ってきてるんだ。

「気のせいだろ」

 いまこの関係がばれるのはまずい。どうにか乗り切って通話を切らないと。あいつがカギを開ける前に終わらせないと。

「はぁやっぱ意味ないか。健太郎君。私。あけて」

 椎崎に似ていたが椎崎じゃない。もっと恐ろしい存在だ。

「悪い。いったんきる。知り合いがきたようだから」

 いい状況で終わらせることを考えている暇はない。今すぐにでも対応しないと。

「うんわかった」

 返事がギリギリ聞こえたタイミングで電話をきった。かなりまずい。

 何の用だよ。わざわざ直接会いに来たってことは普通のことでないだろう。

 あの人にかかわりたくないというのが本音だ。だが、椎崎以上に放置すると何されるかわからないよう注意人物だ。逃げるわけにはいかない。

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