第124話 文化祭実行委員の打ち上げ

「りんくんこっち!!」

 俺の腕を思いっきり引っ張ってくる双葉。今日は遊園地に来ている。美咲と前に行った場所だ。

 双葉と冬休みに遊びに行くと話していたが我慢の限界がきてしまい今すぐ遊びに行くことになった。名目上は文化祭実行委員の同じ学年組での打ち上げとなっている。一番仕切っている双葉は実行委員でないのだけど。

 文化祭実行委員の同学年であるため一緒に来ているのは双葉だけではない。

「ほら大和さんたちも」

 走りだす上野。こいつも人一倍はしゃいでいる。

「走るなって!」

 それをおう大和。上野はいつも通りテンション高いがクールな大和も少しテンションが高い。

「椎崎様。段差です気を付けてください」

 そして珍しい二人も参加している。1人は木佐山だ。双葉に無理やり了承をさせられたらしい。いつも通り美咲への接待を行っている。

「あのこんな低いところで気を使わなくても」

 困った様子を見せる美咲。今日の参加者だ。今日はちゃんと学校の時に見せるみんなが憧れの椎崎さんの状態でいる。。

「まさか椎崎が参加するとはな」

 一番の驚きだ。極力休日は人と接しないようにしている美咲が今日は参加している。それも誘われたときに即答だった。

「交流は大事ですから。でもなるべく話しかけないでください」

「わかった」

 複雑な関係なのがばれるのはさけたいし俺としてもあまり話す気はない。

「もうほら三人とも行くよ!」

 少し先攻中の双葉が呼んでくる。俺たちはマイペースに歩いてついていく。


「なにのるよ。ジェットか?ジェットだろ」

 6人で行動していると上野がアピールをしてくる。おそらくジェットコースターだよな。

「あの私は見てますので皆さんで行ってきてください」

 美咲は絶叫系は苦手であるためすぐさま見学すると伝えた。

「なら私も休みます」

 美咲と一緒にいたい木佐山もそれに合わせ見学することにした。

「なら四人でいくか」

「そうしよっか。ほらりんくんいくよ」

 双葉に腕をつかまれつれていかれてしまう。ここのジェットコースターは履修済みだし大丈夫だろうな。

 スムーズに入ることができた俺たち。まさかの先頭を勝ち取った。

「まさか先頭なんて驚きだよ」

「だな」

 少しわくわくしている先頭と一番後ろは他の席より怖いといわれているから。

「りんくんって絶叫得意?」

 震えた声が横から聞こえてくる。既視感を感じて生きている。

「嫌いではない」

「なら手つないでくれない?」

 既視感は間違っていなかった。この流れ確実に双葉は絶叫が苦手奴だ。

「なんで乗った」

「りんくんと乗れると思ったらうれしくなって…忘れてた・・・えへへ」

 えへへじゃないよ。まじか俺の隣の奴は毎回なんでこう絶叫が苦手なんだ。さすがにここで出るって選択肢もできないな。

「いいかなるべく何も考えるな」

「わかった」

 俺の手を強く握ってくる。手を通して怖がっていることが感じ取れる。

「大和さんぜって手を離さないでくださいよ。俺マジで無理なんで」

 後ろから上野の弱気な声が聞こえた。自分で選んだくせに本人がジェットコースター苦手なのかよ。ほんとにのりとテンションで生きている感じがするな。

「わかったから」

 大和さんも大変そうだ。上野に比べたら双葉の方がまだましか。

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