第133話 初めての全員参加

 双葉とお化け屋敷を終え、美咲たちのもとに向かった。双葉は最後の光景が記憶に深く残ってしまっているようで楽しかったという気持ちが全て払われだいぶ疲弊した姿を見せている。

「無理すんなよ」

「大丈夫」

 だいぶはしゃいでいたから激しいアトラクションは控えたほうがいいかもな。俺も付き合えば解決か。


 大和に連絡を取り集合場所を決めた。指定されたのは観覧車だった。俺たちが館にいる間にいろいろ回ることができたようで美咲をそろそろ休憩させた方がいいという木佐山からの提案から決まったらしい。双葉もこんな感じだからゆったりできる場所はありがたい。

 六人で一緒に入れることができるから初めて全員で同じ乗り物に乗ることになる。

 双葉と観覧車前で待っていると四人がきた。

「りんたろうっち元気か!?」

 逃げた上野が真っ先に話しかけてきた。

「お前が逃げたのは許してないからな」

「ごめんってさすがにあれは無理だって!」

「そっちもお疲れのようだな」

 大和は双葉の疲れに気づきふらつく双葉の背中に手をあてる。ハンサムで紳士的とかほんとにぬかりがない。

「椎崎様お水です」

「あのもう大丈夫ですので」

 木佐山は相変わらず美咲の保護をしている。俺たちはまったく見向きも置かない。美咲の方は疲れは感じているようだが前のような劇疲れてってわけでもないから安心できる。

「よし乗りますか」


 六人で席に着いた。木佐山、椎崎、大和で一列。ほか三人で一列で座った。

「ごめんなさい少し休みます」

「あ、私も」

 美咲と双葉が目をつむった。双葉は俺の肩に頭をおいている。

「双葉がこんなになるとはな何があったんだ?」

 いつも元気な双葉が疲れ切ったところを見せるのは初めてだ。体力が無尽蔵ともいえる彼女がこうして寝るということが珍しい。

「ガチの心霊体験をしてきた」

 シンプルかつ一番怖い部分だけを伝えた。

「え、それめちゃくちゃ怖くね」

「マジで怖かった。あの時だけは双葉も怖がっていたな。それでそっちは」

 美咲が体力がないとはいえ、あのメンツで今の美咲を考えたらそこまで激しく行動するとも考え難い。

「椎崎さんが不得意なのが多いとわかったから椎崎さんに行きたいところについていった。彼女思った以上にここ詳しくてな結構広範囲を移動しながらいろいろ回った」

 アトラクションではなく買い物とかをしていたようだ。美咲がグッズを回る姿を大和たちに見せるってことは信頼されているようだな。

「木佐山的にはどうだった?」

「椎崎様は大和さんたちは簡単にほかの人に広めないと思っているからそのような行動をとったかと思います。それは朝からそうでした」

 木佐山の解説はわかりやすい。朝からということは最初から心を開いている状態だってことか。俺からしたら最初は隠そうとしているように思えたが彼女なりに少しずつならしていったのだろうか。

 だが俺が聞きたい意味が違う。

「そうじゃなくてお前は楽しかったかよ」

「楽しかったですよ。普段はこういうところ行きません。ただ…」

 俺の方に目を向ける。俺今日は何もしてないだろ。

「なんだよ」

「なんでもありませんいにしないでください」

 すごく気になる。木佐山は何かを伝えようとしていたのか。考えすぎだな。俺と美咲が二人で乗っていたことへの不満だろうな。

「こっからどうする?」

「ご飯をお願いします。椎崎様は起きたらおそらく空腹です」

「了解。ならここ出て近場のファミレスにでもいくか」

「そうだな」

 こうしていろいろあった遊園地は終わる。楽しくも大変だったな。

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