第224話 狐との交戦

「誰だてめー」

 隠れ倉庫の中にいたのは全員仮面をつけた集団だった。おそらく顔を見せずつるんでいる連中なのだと思う。

「さっき悲鳴聞こえたが誰だ」

 こういうやつとは関わらない方がいい。さっさと悲鳴をあげた人を助けて逃げようと思った。

「なんのことだよ」

 とぼけてきた。

「お前らには興味ない」

 あたりを見渡す。すると女性の見た目をした犬のマスクを被った人に気づいた。マスクの汚れからも何かされたようにしか思えない。

「お前だな。帰るぞここは危険だ」

 つかさず手を差し出す。その姿に戸惑いを見せる。まぁ赤の他人からいきなりそんなことされたらな。

「あんま調子乗んなよ!!」

 1人が背後から殴りかかってきた。

 つかさず拳を握り振り返りながら手を伸ばしてみた。喧嘩をするのは初めてだった。

 俺の拳が先に相手に当たる。

「いってー。てめーやりやがった」

 つかさず二発目が飛んでくる。反射的にそれを避けもう一度パンチをする。

「なかなかやるじゃねーか」

 ものすごくチンピラ感激しい。おそらく彼もまともに喧嘩をしたことがないのだろう。ただ琴音によって改造された身体能力ってだけの俺に攻撃を当たらないのだから。

 俺が圧倒する姿を見るとさらに数名が鉄パイプを持って近づこうとする。流石にそれは反則すぎる。

「何やってるの?」

 扉の方が狐のお面をつけた人が現れた。

「こいつが」

 俺に指を刺してくる。狐のお面の人は辺りを見回す。

「なるほど。悪いけどその子は私の物だから勝手に持って行かせない。見逃してあげるから帰りな」

 少なくとも狐のお面の人はグループの中でも上位にいる人なのだろう。さらにこの言い分的にやはり彼女は酷い扱いを受けていると確信する。

「なんでそんなことする」

 会話を続けてなるべく時間稼ぐしかない。警察が来ればこいつらも逃げるだろうし。

「そいつは。勝手に引っ越すらしくてね。裏切り者には制裁を加えてるだけ」

 しかし、そう簡単にも行かない。俺が引かないとわかったからか他をけり一瞬で俺の間合いをつめてくる。攻撃を仕掛けてきたのだ。さっきまでの相手と違い一発が鋭く速い。避けるのもギリギリというところだ。

「帰るなら見逃す。これは警告」

 冷や汗が背中を伝う。明らかに素人の動きでない。あの一つの動きだけで一歩引いてしまいたくなる。

「彼女解放したら帰ってやる」

「交渉は決裂か」

 さらに攻撃を仕掛ける狐の人。殴るだけでなくしっかりと隙を作って確実に攻撃を当てようとしてくる。

「くっそ」

 そのスピードに一気におされだんだんと攻撃を受けるようになってくる。反撃などできるわけがない。

 しかし、俺はあることに気づいた。スピードから考えたらそこまで攻撃に重みがない。痛くはあるがこの程度なら多少受けても良さそうだ。

「おら!」

 俺は攻撃を受けながらも狐の人に拳を飛ばす。避けることを捨て突っ込む俺に対して狐の人の動きに動揺が見え始める。これなら。

 一気に押し切り攻撃を当てていく。今度は俺が有利になった。

「どうする?」

 ここで終わるならそれに越したことはない。

「ふざけるな!」

 しかし逆上し攻撃をしてくる。だがさっきまでの余裕がなくなり動きに乱れがある。

「おい行くぞ」

 だが、そう簡単なことでもないここにいるのは俺対それ以外だ。数で言えば圧倒的不利。勝ち目などないのだ。

「手を出すな!こんなやつに泥を塗られるわけにはいかない」

 だが狐の人が叫び静止させる。すると全員が止まり鉄パイプを投げ捨てる。

 仮面で隠れてるせいで本当かはわからないがその隙間からは笑みが見える。楽しんでいるようだ。殺気もさらにましている。

「や、やばい!さつがきてる!!」

 倉庫に中に入ってきた人が息を荒くし報告をする。琴音に頼んでた人たちがきたようだ。ベストタイミングだ。

「逃げるぞ」

 流石の狐の人でも警察には怯えるようだ。

 犬のマスクをした人も連れて行こうとする。それをみた俺は逃げようとくる狐の人のふいをつき思いっきり蹴りを当てた。すると倒れてしまう。

「その子を解放しろ。そうしないとこいつ警察に渡すぞ」

 顔を隠してる時点でそんなに深い関係でないのはわかる。だからこうしても逃げられる可能性が高い。それでも、何もせず手放すわけにも行かない。

「わ、わかった。わかったから」

 怯えた様子を見せる。犬のマスクの人から手を離す。そのため俺は狐の人をわたした。

 とりあえず解決。ってわけにも行かないか。

「お前歩けるなら帰れ。警察に捕まれば面倒だぞ」

「ありがとう」

 犬のマスクの人は立ち上がり他の人が逃げって行った道と逆の方向に走っていった。

 さ、俺も。と言いたいが、流石に攻撃を受け過ぎたようだ。歩く元気すらないか。

「りんにい!!」

 そんな俺をみつけた琴音が駆け寄ってくる。

「とりあえず解決した。助かったよ」

 琴音がいなければ俺は確実に袋叩きにされていた。琴音が警察を呼びに行ったという事実がなく警察が来てたら俺も動揺していた。

「まったく。無理して」 

 抱きしめられた。俺は警察に保護をされた。話を聞くとあの時逃げきれなかった人たちが数名取り押さえられたらしい。全員高校生だったらしい。ほとんど何も話さなかったが頭上を何も話さない。それがこのグループの掟らしい。

 何はともあれ。これで解決ってわけだ。

 

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