第112話 尾行

 そして確認の日が来た。放課後になり美咲が帰ったことを確認する。俺もすぐさまバッグを持ち外に出る。

「あ、りんくん、今日」

「悪い双葉。急用で来た」

 走りながら双葉に伝える。

「わかった」

 すこし理解できていない様子だった。


 美咲がゆっくり歩いているところをストーカーのようについていく。美咲はプライベートを隠す人だから一人で帰っていて助かる。

 別に先回りしてもいいが家にいるのに気付いてこない可能性だってある。だから証拠をつかむために俺の部屋に入る美咲をとらえたい。

 美咲が急にいつもと違う遠回りのルートを歩き出した。俺に気づいたのか?

 そう思ったがスーパーが見えた。普通に買い物らしい。俺はまだバレていないようだ。

 美咲が買い物する姿は初めて見るな。今は表情がなく怖いがしっかりと野菜の質や値段をみて一つ一つ選んでいる。いつもおいしい料理を食べれているのもこういう気配りのおかげだろう。

 見た感じ量はひとりぶんには見えないな。すると急に回転し俺の方に歩いていくる。とっさに別のところに隠れた。

「はぁ」 

 美咲が携帯を持ち出し耳に携帯をあてる。それと同時に俺の携帯がなる。美咲からだ。やはりばれてはいたか。

「なんだよ」

「ストーカーした罪で帰り持ってください。あなた前提で買い物してるので重いです」

「わったよ」

 俺は美咲のもとにいく。いつも通りの性格ではある。ただ感情がないため何もこもっていない声。

「いいのかばれるぞ」

「ばれたところで雑用係ですし、いいようで私が受けるデメリットはないです」

メリット、デメリットで俺といることを考えるところとか最初にあったあいつらしいな。

「それで何でストーカーしてたんですか?いくら私に魅力があってもすでに家はわかっているでしょ」

「いつからしってるんだ?」

 昔の椎崎は初めてアパートで顔を合わせたとき驚いていた。つまり事前に把握していなかったのだろう。だとしたら現状なぜ同じアパートにいるのを知っているのか気になる。

「入学当初から。もちろんさけていたので気づかないのもしょうがないです」

 つまり、椎崎はもともと俺に気づいていたのか。どおりでいろいろと事前準備がしっかりしているわけだ。

「なら夕食は」

 どうせストーカーとばれたんだ。もう隠したって無駄だろう。

「…わかりません」

 彼女が頭を悩ませている。自分のことであるのに理解できていないようだ。

「じゃぁなんで昨日」

「わからないんですほんとに。なぜか夕食作らないとと。昨日は家にあなたいないのになぜだろうと思いながらも料理して料理だけおいてすぐ帰りました。昨日食材がなかったので、買い物にきたわけです」

 ますます理解ができない。俺が質問しているのになぜ美咲の方がわからない点がおおいんだよ。

「別に無理する必要もないだろ。俺だぞ」

「でも、楽しいんです。温かいというか。だからあんたは気にしなくていいです。勝手にやるだけなので」

 勝手にやるだけ。これも似ている。あいつは俺の了承を得ずに料理をしていた。

「そういえば今日もう一人来ますので」

 もう一人その一言だけで嫌な予感しかしない。

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