第182話 レベルの高いスイーツ

 薫さんと来た高級そうな店。俺みたいなやつが普通は入るような場所ではないほどだ。そこの個室に案内された。

 頼んだのはケーキセットとコーヒー。今テーブルの上に並んでいる。

 ケーキはホールケーキのように丸く配置されている。ただ、違うのはすべて違う種類で作られている。甘い香りが感じ見ているだけでおいしいことがわかるくらいだ。

「どれでも好きなの食べていいから」

「食べれるんすか」

 シンプルにホールケーキを一つをすべて食べるのは困難である。なぜ薫さんは二つ頼んだんだよ。

「余っても大丈夫。私甘いものは無限に食べれるから。美咲ちゃんはあまり食べないけどいつも二つ頼んで全部なくなってるし」

 すごいな。これをすべて食べれるほど大食いなのに理想体型をしているなんて。

「いただきます」

 とりあえず無難にイチゴのショートケーキをとった。

 ふんわりとしたスポンジは、ひと口食べるたびにしっとりと舌に溶け、上品な甘さが広がる。クリームはまろやかで、濃厚だが決して重たくない。

「うまい」

 自然と声がでてしまっていた。

「君かわいいね」

 そんな俺を見てにやける薫さん。

「そりゃどうも」

 だが今はそんなことを気にしている暇はなくケーキを食べたいのだ。

 さらにケーキの頂には、完璧な赤色をした新鮮な苺が鎮座し、その甘酸っぱさがクリームとのバランスを絶妙に引き締める。

「あんたらいつもこんなの食べてるんすか」

「私はね。美咲ちゃん付き合い悪いから。たまーにしか来てくれない」

 付き合いが悪いんじゃなくて姉と顔を極力合わせたくないだけだろ。あってもいいことほとんどないし。

「それでも美咲はたまには同行するんですね」

「あの子は私を失ったらすべて終わりだからね」

 また悲しくつらそうな目をしている。この人は美咲にひどいことをすることがほとんどのはずなのにどこか美咲を思っているそぶりを感じれる。

「あの、美咲っていつから」

「君にこたえる義理はない。新しい家族なら話は別だけど」

 いつから今の状況になったのかを聞こうとしたら話す前に拒否された。美咲は覚えてなく薫さんは条件付きで話すことを拒否。やっぱり美咲に何があったかしるのはだいぶ困難だな。

「じゃぁ私はこれ食べようかな」

 一気に三つさらに並べる。そして三つを少しづつ食べ進める。

「一気に食べるんですね。もったいない」

「まぁほとんど食べつくしてるからね。それに組み合わせてもこの店のケーキはどれもあたりだから」

 薫さんはケーキを食べるときは幸せな顔をしている。食べている間だけはかわいらしくも思えるな。ずっと甘いものを並べればこの人のペースにならないのかもな。

 初めて薫さんの弱点になるかもしれない要素を見つけ笑みがでてきた。

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