第58話 そして始まるくじ引き
そして次の日を迎えた。実行委員が決まる日。ここで誰かが立候補すれば俺は完全にやらなくてすむ。どうなろうとほかの立候補者がいたという理由をつければ解決できる。
「よーし実行委員やりたいやつ手をあげてください」
先生がそういうと、一人だけ手をあげている。よしこれで解決だ。
「木佐山さん。以外にいますか?」
まずい。女子だ。男子は誰も手を上げようとせず「お前がやれよ」と仲間内で話始めている。
「では、木佐山さんは決定で。男子の実行委員はくじで決めますか」
「えー!」
男子は全力で否定する。ここまで誰もやりたがらないということは椎崎が実行委員をやるかもしれないという噂すら広まってないようだな。この後椎崎が実行委員やるとなったらさぞかし悔しがるのだろうな。
「それでは男子は全員紙引いてください。〇ついてた人が実行委員になってもらいます」
一気に緊張してきた。このくじ引きがものすごくこわい。昨日の大和や椎崎にいろいろいってきたし俺があたりそうだ。
「よっしゃー!!はずれたぜ!」
だんだんと俺の番が近づいてくる。今のところ誰も引き当てていない。後ろなら俺まで来ないと思っていたが誰でもいい。あててくれ!
「やっふー」
喜びの声がだんだんと絶望のボイスに聞こえてくる。
みるみる人が終わってくる。そして俺の番がやってくる。残すは一枚。全員よろこんでいる。これは不具合だな。俺のも丸がついてなくてリセットだろ。
おそるおそる手を入れる。中にはしっかり一枚の紙しかない。
手からは汗がでてくる。
「あいつやるんかよ」
「先輩たちの前で暴れたらやばいだろ」
「むしろいなくなった方がせいせいするからなんか問題起こしてほしい」
後ろからのヤジは箱の中に入れた手を拳にしてぶん殴りたくなる。
「草加君早く引いてください」
あきらめよう。
髪をとる。裏向きなのに明らかに赤い線が見える。開けるごとに丸の形が見えてくる。
「ということで。このクラスの実行委員は草加君と木佐山さんになりました。この二人はあまりクラスの方の準備はできないと思いますので他の皆さんで頑張ってください」
「よろしく草加君」
「おう」
木佐山桜か。目立ってるような生徒ではないな。ルックスだけはクオリティは高いと思うしクラスでも仲がいい。とはいえ、椎崎みたいなずば抜けた人気があるわけでもない。
「りんくん大変になったね」
「悪いな」
「くじだし仕方ないよ」
文化祭の準備の間は確実に双葉と帰るのは無理だろう。少し悪いことをした気分になるな。
「当日。少しでも空いてたら一緒に回って」
「いいぞ」
とりあえず文化祭は忙しくなりそうだな。
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