美咲記憶消失編

第108話 終わり原点へ

 美咲から自分のことについて簡単に教えられ、これから美咲は悪い状況になる。そんな夜を迎えた。心配でまともに寝れなかった。だから感じた。誰かが美咲の家に入ったことを。おそらく薫さんだろう。外をでたらもう美咲に会えないかもしれない。それでも俺は今日を迎えるしかないだろう。


 いつも通り支度をすませ扉を開ける。隣を見るが外に出てくる気配はない。もう学校にむかったのだろうか。それとも本当に…

「あの邪魔です」

 後ろから声が聞こえる。その声に震えを感じた。どこかで知っている。だがかなり前の話だろ。

「美咲?」

 後ろを振り返ると美咲がいた。だが、目の色は暗く無気力状態。俺が初めて会ったとき以上に何もかもが抜けているようだ。

「隣だからと気安く下の名前を呼ばないでください。今忘れ物して遅刻しそうなんでどいてください」

 まるで俺との思いでが何もないかのようないいふるまいだ。

「悪い」

 どういうことだ。薫さんは数時間で何をした。どうやったらこの美咲が完成するんだ。

「あなたも遅刻しないように」

 この優等生っぷりは変わらないようだ。

「おい。昨日何してた」

 昨日俺の部屋にいたその記憶が残っているかそれだけでもたしかめないと。

「なんであなたに教える必要があるんですか。部屋で復習してましたずっと」

 やはり記憶じたいがなくなっているようだ。つまり俺との思い出はリセットされたようだな。

「わかった。さっさといけ」

「!あなたが。もういいです」

 反応は変わらないようだ。

 そんな美咲を先に行かせ俺も学校に向かうことにした。ゆっくりと遅刻覚悟で。気持ちの整理をするために。薫さんは何かをし美咲を元に戻した。おそらく学校ではめちゃくちゃいい顔をするだろう。俺に会話をする余地はない。


「おはようございます」

 学校に行くといつもの椎崎美咲がいた。誰にも優しい。

「昨日はごめんなさい。私少し落ち込んで」

 記憶がなくなったわけではないようだな。ならなぜあそこまでキャラが。

「大丈夫ですよ。椎崎さんも調子悪いことがあるんですね」

 そしてそんな椎崎が良く見せるだけだとわからないあいつらは好かれようとする。いつもの光景だな。学校の方では特に影響はなさそうだな。

「りんくん。おはよ!今日暇?遊びに行こ!」

 おれに飛び乗ってきたと思ったらものすごい勢いで話しかけてくる双葉。椎崎はあんな感じだし気をそらすためにもちょうどいい。

「ひま」

「やった!!遊びに行こ!!。大和君たちにも確認済み!」

 こいつの行動力はどうなっている。もう予定確保しているとは。休日にどこか行くと聞いてたはずだったが。


 今思えばしいから離れる。ものすごい遠回りだったが成し遂げることができたのか。

 

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