第31話 アスレチック

 琴音と競争をしだいぶ疲れをたまっている。琴音は俺よりハイペースで昇っていたはずだがまったく疲れを感じずむしろさらに元気となった。

「それで遊ぶって何すんだ?」

「あれ」

 指をさした先には展望台がみえる。鉄の階段木と木とで結ばれた橋。

「こんなところにアスレチックなんてあったんですね」

 場所でいえば歩いて行ける範囲。だが、俺も椎崎も今場所がったのは気づかなかった。

「美咲さんは知らなくて当然だと思うけど、まさか動くの大好きなりんにいが気づかないなんてね」

 琴音に付き合わされた結果だけどな。琴音の運動神経についていく同級生はいたとしても体力測定で上位い行くような男子ばかりだった。女子では琴音について行けるものはいない。そしてほとんどの男はプライドがあり琴音に負ける事実を作りたくないため長きにわたって一緒に体を動かそうとするやつはいない。その結果仕方なくでも俺と一緒にランニングやなどをするようになる。俺はそのおかげもあり体力がつき体育のスポーツであれば活躍できる人間となった。

 つまり、俺は体を動かすのが好きではなく体を動かすのが大好きな妹に付き合った結果ってだけだ。

「私は見学でいいですか?」

「こういうのは苦手ですか?」

「いえ、苦手は苦手なんですが…高いところが」

「怖いとこ嫌いだもんな」

 お化け屋敷同様、高いところも怖いようだ。一般的に怖いところが苦手で運動も人並みよりはちょっと劣っている。しっかり苦手な部分は隠せているすげーやつだな。

「りんにいは?」

「さっきみたいに持って歩くとそういうのは無理だぞ」

 苦手ではなく慣れていないため、椎崎を支えるのにはリスクがありすぎる。

「なら私が支えるか。美咲さん。りんにい見たいに持って歩くとかは難しいけど絶対落ちないようにするから一緒に昇ってみませんか?」

 やる気が満ちている。琴音だったら俺も大丈夫だと思える。だが。

「さすがに危険すぎる命綱はついてるとはいえ、足滑らせてケガとかしたらどうすんだ」

 何より椎崎が乗り気でない中無理にやらせるのもよくない。

「あなたにそう言われるとは。いいですよ。やりますよ。琴音さんよろしくお願いいたします」

「うん!」

 椎崎は覚悟が決まったようだ。美咲もすごくうれしそうだ。

「無理だと思ったらすぐいえよ。あの日」

「あー。それは言わないでください。わかってます。今度は無理しません」

 慌てて俺を止めに入る。あの日疲れはてたことは相当恥ずかしいことだったのだろう。


「なーんだ。お兄ちゃんちゃんといるじゃん。心配して損した?」

「なんかいったか?」

「なんでもない。りんにい、みさきさん。いこ!」

 

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