第121話 俺と美咲の波長

 木佐山が作成したのなかからここ最近の俺と美咲について記載のある部分を見せられた。

「椎崎さまが落ち込んだ日を見てください」

 表情や口調などを事細かく採点しその合計点から今日の美咲についての評価をつけていた。落ち込んでる日は極めて点数が低くなっている。

 そして俺の方ざっくりと書かれている。だが、「椎崎さまをみた回数」や「椎崎さまの話が聞こえて反応した回数」など美咲に関わることはしっかりまとまっている。おそらく教室の話だろうが常に俺は監視されていることがわかった。

「それで?」

「椎崎さまが落ち込んだ日にあなたは廊下を見る回数が増えています。さらに双葉さんとの会話も減っているしそっけない反応をしています」

 データは嘘はつかないと言わんばかりの正確なデータだ。俺も気づいていなかったがよく考えてみると確かにこの資料通りの行動をとっている。木佐山の観察眼恐るべし。

「たしかにそうだな。だがこれが何の関係が」

「そして文化祭です」

 次のページは文化祭データと記載がある。文化祭の準備別に作成していたようだ。

 俺と美咲、2本の線グラフがある横軸は実行委員の仕事の回数が書いている。

「正直私も驚いています」

 俺と美咲の浮き沈みはほとんど同じだった。さっきの資料を見てもわかる通り単純に椎崎に合わせて俺も…そう思っていたが違っている。

「これの判断基準は?」

 俺が先に沈んでいたのぼるのも俺が先。さっきの理論から言ったら真逆の現象が起きている。

「椎崎さまのはこと細かく分析しております。あなたは、顔に出やすいタイプなのですぐにわかりました。とはいえ、こうも一緒であると思ってなかったです。つまりあなたが椎崎様の異変に気づき何かをした。その結果、椎崎様が落ち込んだと予想ができます」

 間違っていないだが。

「だが俺が気づいているのならすでに椎崎さんは落ち込んでいないとおかしくないか?」

「あくまでデータです。つまり、私はそれに気づかなかったのです。悔しいですがこんなに観察してる私よりあなたの方が椎崎様をよく見てます」

 悔しそうな表情を見せる。まぁ木佐山に関しては一方的な片想いだからな。俺みたいに互いに想い…。友達として見てたから気づけたのかもしれない。

「面白い予想だな」

「そしてテストを境にあなた人はまた元に戻りました。その時もあなたは事前に気づいたようで椎崎様と対面する前から落ち着きがなかった」

 「そりゃ、学校行く前に一度見てるからな」とツッコミたくなる。と言うより学校での美咲しか知らないはずなのにその変化に気付くのってだいぶ化け物だろ。

「それで俺らが仲がいいと言う答えに行き着くのか。だが俺が救うに結びつかないだろ」

「私もそれくらい理解してます。ですが」

 別のページを開き出した。

「おまえ」

 俺はその資料を見た瞬間にふるえがはしった。

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