第127話 椎崎美咲の居場所

 俺と美咲。双葉と木佐山で座ることになった。人形を鑑賞するアトラクション。物語が進んでいく様子が描かれている。美咲が大好きな場所である。


「一つ聞いていいか?」

「もちろん細工しましたよ」

 俺が質問をする前に返答してきた。そこまで思っていたわけでないが美咲が木佐山をのせてきた時点で勝つ確信があったきがした。

「もちろん。デジタルですので事前に順番を決めています。本当にランダムなら紙にしますよもちろん。草加君は気づいたんですね。さすがです」

 悪魔だこいつ。というよりここ最近の美咲とは大違いだ。ラフというか感情がしっかりわかる。素になったときの美咲に似ている。

「そこまでしてなぜ俺と」

 いま無表情をやめたことやわざわざ細工してまで俺を選んだかは気になる。

 美咲は笑みを浮かべた。

「あなたがなぜここを選んだか気になったから。そしてあなたみたいな人がここを選んだということは私を知っていると思ったからです」

 美咲がかわいいところを好むというのは隠したいというわけか。なら木佐山といいいたところだがばれてるとか以前にストーカーとはなるべく一緒にいたくないか。

 何を伝えばいいか悩んでしまう。しっかり知っていることを伝えるべきだろうか。だが、詳細を話したところで。

「無理して答えなくていいですよ。隠したいこともありますしね。それよりあなたの好きな人形を教えてください」

 急なる好きな人形を教えろという。ぶっちゃけ美咲についてきた程度で美咲の説明を聞いたからといって違いがよくわからない…。

「私は勝手に楽しんでるので見つけたら教えてくださいね」

 沈黙をつらぬいてしまった。とりあえず適当にいいの見つけたら声をかけるか。

 それにしてもこういうところを何度も来てる美咲は改めてすごいな。隣を見ると目を見開いて細かなところまでしっかりとみている。好きな人形を探しているがとくにこれといって見つからない。もう適当に伝えるか。 

 そう思ったとき脳裏を刺激するものが見えた。看板にはコンクール受賞作品と書いている。

「あれ」

 すぐに思い出したここには美咲の考案した人形があることを。

 俺が指をさした先を見て美咲は目を見開いた。そして笑顔をみせた。

「草加君はあーいうのが趣味なんですね」

「いいだろ」

「あなたには話しておきますね。シンデレラが時間とともにもとに戻るように遊園地を出るとお元に戻ります。ですが気持ちは残ってますので」

 一見意味深な発言に感じるが理解した。今美咲が俺に伝えられる限界がどんなものなのかを。加えてここで美咲の居場所であるという意味を。ここにいるときは偽りのない美咲が入れるってことだったのだ。記憶がなくてもしっかりとここには美咲がいる。

「だから安心してください。あなたの妹さんともうまくやります」

「ありがとうな。美咲」

 つい自然と名前で呼んでしまった。

「不思議ですね。前は急に言われて拒否をしたのに今では懐かしく感じます」

 つらい。涙がでそうだ。美咲はきっと苦しんでいるんだ。今の生活に。

「まだここにいる時間はある楽しもうぜ」

「はい!!。あっでも」

「絶叫と恐怖は禁止子供でものれるおこちゃまアトラクションを希望だろ」

「なんですかその言い方!ですがごもっともなのでお願いします」

 必ず今のように何も考えずいきれる美咲を必ず引き出すと俺は思った。

 決心がついたわけではない。だが俺はあの人と戦う道を選ぶと思う。美咲のために

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