第128話
「楽しかったですね」
「そうだな」
温度差が全然違う。美咲が1人でマシンガントークを繰り広げ事細かく人形の話をしていた。聞いてはいたが全然頭に入ってこなかった。だって見た目が若干違うだけで俺にとっては全く同じ人形にか見えなかった。
「そちらはどうでした?」
「うーん。隣の人がずっと前を観察して資料書いたり絵描いたりしてたからつまらなかった」
「私はあなたごときに興味ありません。椎崎様が全てですのでたとえ背中だろうとかかさず観察します」
木佐山はいつも通りだな。
「で双葉は?」
「…ずっとりんくん見てました…」
こっちもいつも通りってことか。
「二人してこの芸術の良さがわからないなんて」
美咲の目がするどくなる。ガチ勢を怒らせたようだな。
「ごめん!」
双葉はすぐさまやばいことを悟り謝った。手も震えている。こいつ絶叫とか怖い系とか大丈夫になのに人間に怒られるのはだめなのかよ。
「…」
「木佐山さんも。私よりも芸術てきな」
「怒った姿も素敵です」
「え?」
木佐山の筆が走りだす。
「椎崎様が私起こった貴重な瞬間ちゃんと記録に残さないと」
木佐山が隠す気をなくす美咲ガチ勢を引き出している。
「あ、あの。私起こってるのですけど」
そんな木佐山にたいして動揺してしまう美咲。おそらく美咲は怒りなれてないだろうし対応力がかけているようだ。
「はい。なのでメモを椎崎様が私に感情見せることほとんどないので」
この変態はどうすれべよいだろうか。美咲とかかわるってだけでうれしいだろ。
「お、いたいた。おーい」
この変な空気の間に上野と大和が合流してきた。
「わるかったな。無事復活したっからよ。さ、どこかいこう!次ホラーとかどうべ」
戻ってきて早々上野がハイテンションで声をかけてくる。本当に復活したようだな。そしておそらくホラーいってまた悲鳴上げてダウンというおちだろうな。
「ホラーいいじゃん!」
「私はまた見学で」
ホラーだとそもそも美咲が無理である。そしてそれは木佐山同様。一気に二人かけることになる。
「なら、俺もいいかな。お前ら三人で行ってこいよ。こっちはこっちで適当に乗ってる」
さっき約束もしたしこの流れでホラーを止めるのも申し訳ない。だから俺自身が抜けることで三、三になる。そうなれば限られた美咲が楽しめる乗り物を目指すことができる。
「俺もホラーはパス」
「私は椎崎様と一緒でないなら行きません」
ひとりだけ不純な理由で行かない奴がいる。
「ならくじにしますか」
さきほど同様スマホをとりだす。
「いやそのスマホさっき変な引きだったから今度はアナログでやろう。ちょうどノートあるし」
双葉が対応してきた。おそらく細工に気づいているわけではないシンプルに公平性を保つための手段だろう。
「いいでしょう」
これで美咲は木佐山と離れなられないか可能性がでてきたわけだ。
そしてくじが引き終わった。
「ほらいくべ!」
「やったねりんくん」
俺と上野と双葉でアトラクションに乗ることになった。ほか三名は別のところに行く。くじだ仕方ない。あっちもあっちで
「あの離れてくれます?」
「やはり私たちは運命共同体です!」
仲よさそうだ。木佐山もここにきて今の美咲をみて一定の距離を保つという自分に課した誓約を忘れているようだな。
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