第56話 来る!文化祭!!俺は絶対嫌だ
10月になるということは面倒な企画が一つ始まる時期である。そう文化祭。普通の日常を送っているのであれば俺に何の影響もない。だが、今の俺の嫌われ具合からしてクラスの輪に入るのはほぼ無理だろう。そうなってくると準備時間も含めて終始浮いた状態になる。
「りんくん。文化祭だよ!」
「そうだな」
双葉はいつも以上にテンションが高い。こういう行事ごとは好きそうだもんな。
「文化祭は大変だわ」
いつも通り大和が仲に入っている。
「大和君は大変そうだよね。私たちは嫌わてものだからずっと自由で入れそう」
大和の人気からしたらいろいろと殺到するだろう。特に当日一緒に回りたい女子はたくさんいるだろう。俺たちみたいに誰からも声かけられないようなやつが楽ってもんだ。
「草加。お前実行委員やらないか?」
唐突に俺にしていいやつでない質問をふっかけてきた。
「何を馬鹿なことを言ってるんだ。俺がやるわけないだろ」
そもそも俺が立候補したところでほかの奴がなるに決まっている。
「大和君実行委員志望なの?」
「クラスにいるより楽だからな。なるべくクラスから離れて自由にしたい」
実行委員が楽ってこいつの思考はどうなっているんだ。人気者の気持ちわからな。
「双葉がやれよ」
「私?やるわけないじゃん。私は作るタイプじゃなく参加するタイプだから」
大体予想はついていた。
「ということで草加に期待だな」
「期待はしないでおけ」
どうせ否定したところで説得時間が始まる。ここはびごしておけばいい。
「期待しておく」
だからその笑顔やめろ。気持ち良すぎて立候補するだろうが。
大和は教室に戻っていった。
「本当にやるの?」
「やるわけないだろ」
「だよねー大変だもんね」
しばらく放課後は双葉と二人で帰ることになりそうだな。
実行委員が決まるのは明日だし。それを乗り切れば俺はずっと楽な時間を過ごすきまずい生徒になる。
「文化祭さ。一緒に回ってくれる?」
そういうお願いを一か月前からするものなのだろうか。
「回る奴いないしいいぞ」
「よかった。これで久しぶりに文化祭いけるよ」
久しぶりって一年に一回しかないのに妙だな。
「去年は行かなかったのか?」
「え!。あいやー。体調くじしちゃって。今年は行きたかったんだけどりんくんと一緒でなかったらただのぼっちになるからさ。凛君がいるなら安心だ」
ここまで俺と行きたいという執念があるのか。それはある意味安心だ。俺もぼっちになることはなくなったな。少しは楽しくなりそうだ。
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