第54話 抵抗の彼女
椎崎の部屋に入ったおれ。目の前に見えた光景に驚いていた。朝はきれいになっていたはずの部屋が散らかっていた。そこからも彼女の体調が回復していないのを感じ取れた。
「椎崎?」
「どうしました?」
何もなかったのように部屋の整理をしている椎崎。
「体調は?」
「だから念のため休んだといったじゃないですか。回復してますよ」
もうこいつの朝と全く同じ椎崎だ。つまり。
椎崎が警戒する前にすぐさま距離をつめおでこを触った。
「え!」
すぐさま押された。でこもそうだし今押してきたてもそうだが予想以上に熱い。服越しにでも感じるってよっぽどだぞ。
「この熱さで何もないと?」
「…なんでもないです。帰ってください!」
声を上げたとどうじに力がぬけふらつきだす。
「そこまで無理して隠す理由はなんだよ」
「隠してません。本当に平気です。今は少しふらついただけです」
「いいから」
大和みたいにかっこよくつれていくことはできないが椎崎を持ちベットにいれる。
「お前が名の思ってるかは勝手だが回復してくれんと困る」
「あ、夕食作らないとですね」
ベットから抜け出そうとする。
「あきらめろ」
「ロボットはどんなに熱くなっても業務をこなします。私も大丈夫です」
「ロボットもウイルスがはいったら正常に機能しないだろ」
「そうですね…」
正論をぶつけたら抵抗をやめた。
「いいんですか?休んで」
まるで誰かに休むことを禁止されてるような言い方だな。
「休め」
「わかりました。すいません。結局こうなるんですね。誤解しないでほしいのはずっと休んでました。熱は全然下がらなくてずっと苦しかったです」
やっと本当のことを話してくれた。
「隠すのはやめてくれ。過剰な看病はしないし、それで下に見ることもないから。隠してる方が弱く見える」
「ごめんなさい」
ぐうー
「隠し事から解放されたおなかすきました。昨日からほとんど何も食べてなかったので」
「レンジで簡単に作れるおかゆ買ってきた」
「いいですね。自分が作れないと自覚してるからってわけですね」
そして辛さは変わらないのだろうがいつも通りの椎崎に戻っている。平然と俺を蹴落とす発言。悪口を言われてるはずなのに安心してる。
おかゆを容器に移し椎崎のもとに運ぶ。
「食べれるか?」
「食べさせてほしいです。ダメですか?」
なにこの子。この甘えてる感じまじもんの天使じゃないか。いつものあの黒い椎崎からは見れない光景だ。
「しかたないな」
スプーンでよそいさましてから椎崎の口に運んだ。
「いただきます。おいしいです」
「それはよかった」
飲み込むと口を開けてアピールしてくる。これまたかわいい。毎日この椎崎だったら自信をもって幸せ者っていえる。
「ほらよ」
今の感想を言わせてくれ。この時間に感謝。
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