裏の彼女を知る俺の話

第七話 美咲の目

「朝から楽しかった～」

　周りと溶け込むことを捨て俺とかかわることを決めた双葉。初日は最初から最後まで俺と絡もうとしてきていた。

「俺も久しぶりにここまで話したな」

「だよねー。なんかずっと嫌な目で見られてたね！」

　なんでそんなうれしそうなだよ。そういえばいつもより視線ほんとにすごかった。

「明日からもこれは続くぞ」

「大丈夫！倫太郎君といたら楽しいし」

　1日でこの執着。純粋ってことは感じ取れるがどこか警戒してしまう。

「明日も一緒にどう？」

「俺が学校に行く気になればな」

「わかった！私こっちだからじゃーね」

　風のように走っていった。これが転校生、双葉ってやつか。不思議なやつだな。

「あの人が転校生ですか」

　双葉がいなくなったと思ったら椎崎が現れた。

「つけてきたんかよ」

「草加君が女子と一緒にいるって聞いたのでチェックしようかと」

　こいつもこいつで怖いもの知らずだよな。

「それでどうだった？」

「あなたって噂より丸い人なんですね」

「うるせぇ。普段はこうなんだ」

　噂が一人走りしたせいで絡みが少なかっただけだ。普段はの俺はそこまで高圧的じゃないんだよ。

「あの人、コミュニケーションの鬼ですね。あなたとあそこまでなじむとわ」

「俺もおどろいた」

　とはいえ、椎崎と話したのもまだ3回目なんだが、普通に会話してる。

「協力しましょうか？」

「なにがだ」

「あそこまで付きまとわれた自由がなくなりますよね。それを半減から無にできますよ」

　こいつの力があればそれも簡単だろう。椎崎YESマンを動かせばいいだけだから。

「本人の意思を尊重してやれ」

「あなたって優しいんですね。いい方向に変えるのは彼女よりあなたかもしれませんね。真実を教えてくれないですか」

　その態度は正直むかついてしまう。学年は椎崎のもの。彼女にちゃんと話せばきっといい方向になるのだろう。俺もそっちのほうが居心地はいい。

「無理やり方向転換させるのはやめろ。俺はあんなやつらと仲良くなる気はない」

「そうですか。案外使い勝手いいですよあの人たち」

　その言い方。やはり椎崎はそういうやつか。環境を作っている。だが、誰よりも建前で動いているのはこいつだ。

「お前と仲良くしてるやつってある意味こえーな」

「それはお互い様です。偽の情報により怖い存在となるもの、偽の情報でいい存在になるもの。対比はしていますが、私たちはどこか似てるのかもしれないですね」

「俺はお前みたいな怖い人間じゃない」

「ふふ。面白いこと言いますね」

　不敵で見下している。だが、ほんの少しだが彼女の笑みが見えた。それは学校で見せるものとは違うように思える。

「それでは、ご飯にしますか。またキッチン借りますね」

　俺の家にちゅうちょなく入ろうとしてくる。

「何言ってんだ」

「！！。いえ、帰ります！」

　顔を赤くしすぐさま自分の部屋に入っていった。

　わかんねーなまじで。椎崎はいったい何を考えてるんだ。ま、俺には関係ないことだし感がるのはやめるか。