第142話 俺の呼ばれた理由
美咲からはもうすぐつくとの連絡だった無事に目的地にはついたようだ。こちらもいい感じに休憩できたし迎えに行くことにした。
外に出て通ってきたルートを歩きながら彼女をむかえに進んだ。
もうすぐという言葉を信じて進んでいたが少し遠くの方で彼女の姿が見えてきた。その光景を見て俺は走りだした。だんだんと彼女が鮮明に見えてきた。そして俺の目の前にいる美咲は疲れているように思えた。少し歩くだけで膝に手をついて深呼吸をしているように見えたのだ。
「大丈夫か?」
美咲に追いつくと腕を背中に通して支えた。
「すいません。遅くなりました。今日は邪魔が多くて」
表情を見せないのが正常な美咲が疲れのせいか少し表情が見えている。辛いという感情にはあらがうことができなかったようだ。
「それより。無理しすぎだろ。なんでここ選んだ」
「少しほしい商品ありまして。草加君ならこうして疲れた私を助けてくれると知ってますのでお願いしたんです」
どうやら荷物持ちではなく美咲持ちだったらしい。
「バスとか使えばいいだろ」
「極力歩ける範囲は歩きたいです」
「ならもっと体力つけないとな」
美咲のすごいところは自分にできないことがあってもそれをうまく回避することだろう。本来なら楽を選ぶところを歩くために必要な人材を選ぶのだから。
「それと。もう一つ必要な条件がありました。むしろこっちの方が重要です」
疲れながらも真剣な感じがした。
「なんだよ」
「あなたにはすでにばれています。つまり適任ということです」
ばれているから適任。それだけで少し思い当たるジャンルが見えた。
「椎崎一応聞くけど今日の目的は?」
「当然。もふねずみのポップアップショップです」
もふねずみ聞いたことのないやつだな。ポップアップショップというのだから期間限定のかわいいものなのだろう。やはりかわいいもの関係であったが。
「お前はかわらないな」
だが少しほっとしているところもある。記憶を改ざんされようとこいつはかわいいものが大好きでそれを隠したがる。そのことをばれている俺を利用する。その思考は変わらない。
「その前も同じようなことされたみたいないいかたなんなんですか。あ、いっときますけど」
「ばらしたらもっとひどいことをするだろ」
「わかっていればいいです」
少し回復したようで表情は再び消えた。だが、うちにひめたかわいいものを愛する気持ちはあるのだろう。無表情なのにすごくうきうきしている。出会って速攻でおかしくなって流れるように仲良くなったと思ったら記憶が消え。でもそんな美咲だけど。かわいいものを目の前にしたらかわいくなって。最高だと俺は思った。
「え、とここの7階っていってたよね。はやくいかないと」
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