第68話 嫌いじゃないわけ

「今日はお疲れさまでした!」

 今日の仕事が終わり帰ることになった。大和たちの班はもう少し残るようでなりゆきで椎崎と木佐山と帰ることになった。

「お疲れ。よく頑張ったね」

 木佐山の頭をなでる椎崎。学校や俺に見せる姿とも違い穏やかで優しい先輩オーラがある

「ありがとうございます」

 木佐山は椎崎の隣にいると犬みたいになる。褒められると喜んで、ほかの人には関心がないのかほぼ無反応。俺みたいにご主人様に手をだす可能性があるやつは警戒している。俺はなんとか様子をみる程度で収められたが今後の行動によっては最警戒される可能性あることにもかわりはない。気を付けないと。

「草加君も噂によらずしっかりしてましたね。助かりました」

 さすがに木佐山の前でふざけて椎崎を忙しくしたら何をされるかわからんし手をぬこうも抜けなかった。

「ところで木佐山さん。調査はどうだった?」

 調査?何かを頼んでいるのだろうか。

「え、とですね。野原君でした」

 野原って誰だよ。

「ありがとう。今回は何が欲しいの?」

「今回は簡単でしたので何もいりません。文化祭終わったらまとめてもらいます」

「わかった」

 話に入りたいようで入れない。

「はぁ。椎崎様。草加君が困ってますので説明してあげてください。一応椎崎様と仲が良いか調査中です」

 ここで報告した!しかも後ろにいた俺のこともしっかり見てたのかよ。

「そうですか。私と草加君が。そんなの調査しないでください。草加君に失礼なので」

 一応隠す方向で進めるようだな。

「いくら気になってるとはいえあまり教えれることじゃないのでごめんなさい」

「別に無理に聞く気はない」 

 この二人の関係は怖いからもう触れたくもない。

「草加君。私はあきらめませんのでせいぜいぼろをださないよう気を付けてくださいね」

 ほんとに怖いからやめてくれ。常に監視された環境とかたえれるのだろうか。

「勝手にしろ」

「許可が下りましたので継続します」

「はぁ本人許可が出た以上私から止めることはできませんね。ご勝手にどうぞ」

 これでバレるまで時間の問題になるな。ずっと木佐山ペースでむかつくし仕掛けてみるか。

「二人っていつからの仲なんだ?普通の友立ちってわけでもないんだろ?」

「私が椎崎様と出会ったのは中学です」

「え、と。たまたまクラスが同じで隣になったんです」

「そこから椎崎様にはいろいろしていただきこの人の魅力に気づきました」

「だからその言い方はやめてくださいっていつも言ってますよね。ただ忘れ物したときに貸しただけですから!」

 椎崎の大きい声が響いた。こんなに声だせるんだな。

「そのそっけない優しが魅力なんです」

 思ったよりじゃなくて普通にいい話じゃないか。そこからどうやってガチオタに変貌を遂げたのか気になるな。教えてくれないと思うが後でじっくり聞くとしよう。

「私はそろそろ帰ります。椎崎様また明日」

「うんさようなら」

 あっさりと帰っていった。

「こんな早くに帰るんだな」

「いいましたよね。プライベートには触れてこないようにしてるって。私がそろそろ曲がるのを知っているからここで帰ったんですよ。普通ならあそこまで好むならいろいろ探られると思いますが彼女はそんなことしません。好きだからこそ嫌われないようにしているんだと思います。かわいいですよね。苦手ですが嫌いじゃないです」

 俺は理解した。木佐山は本気で愛している。今の彼女にとって椎崎に嫌われることが一番つらいのだろう。それが椎崎の中ではめずらしいし身の安全が保障されていることが確定している。おまけに妨害にもなる。高校では初めて接したようだがそれも聞かいあなかったから無理にっ入らなかったのだと思われる。見たことのないタイプでものすごく怖いが清純さは評価できるものだろう。

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