第249話 衝撃の発言からうまれる
美咲から飛び出した発言は、双葉にとって衝撃的なものだった。俺と美咲が隣の部屋同士だという事実だ。今まではお互いのためを思い、誰にも話さないと決めていた。そのため、双葉に気づかれそうなときは、俺がうまく話をそらしていた。それが、このタイミングで明かされるとは、俺にはまったく理解できなかった。
「え、えーと、冗談?」
双葉は明らかに戸惑っている。俺もこれまで、美咲とは関係ないと説明していた。それが嘘だったと知れば、双葉を傷つけるかもしれない。そうなれば、協力関係は成り立たなくなる可能性が高い。
「本当です。彼にも確認してみてください」
美咲はどこか余裕を感じさせる様子だ。最初から、このタイミングで明かすつもりだったのだろう。
「そうだ。今まで黙っていたし、嘘をついていた。すまん」
俺は事実をそのまま伝えた。ここで嘘をついても、美咲によってさらなる真実が暴露されるだけだ。
「そっか…。だから、りんくんは椎崎さんのことを。でも、なんで隠してたの?」
双葉の疑問に対し、美咲が冷静に説明を始める。
「ひとつは、私の個人情報が広まらないようにするためです。もし私に付きまとわれたら、嫌われる可能性が高いですから。でも、隣に住む倫太郎くんなら接触しやすいので、それを避けたかった。もうひとつは、私の隣に住むことが知られれば、悪い噂のある倫太郎くんがどう思われるか…。混乱が起きるのは明らかです」
「…あー、めんどくさくなる、ってことね。それなら納得できるかも」
双葉は美咲の説明に一応の理解を示した。どうやら大事にはならなそうだ。これで協力関係を築ける可能性が出てきた。
「まあ、納得はしたけど、それでも驚いたよ。二人が隣同士だったなんて…」
双葉はため息をつきながらも、落ち着きを取り戻したようだ。それでもまだ少し疑念が残っているようで、俺と美咲の顔を交互に見つめている。
「そうですね。でも、これで隠す理由がなくなりましたし、これからは協力するのに障害はないと思います」
美咲はさらりとそう言い切った。まるで計画通りだとでも言いたげな表情だ。
「それはそうだけど、なんか腑に落ちないなぁ…」
双葉は首を傾げながらも、深刻そうな様子ではない。自分の中で疑念を整理しようとしているのだろう。
「隠していたのは悪かった。でも、俺たちに悪意はなかったし、これで少しは信頼してもらえればと思う」
俺は素直に頭を下げた。ここで誠意を見せることが、双葉の信頼を取り戻す一番の方法だと思った。
「うーん、まあ、いいよ。これからちゃんと協力してくれるなら、それでいい」
双葉は腕を組みながら少し微笑んだ。その表情を見て、俺はようやく少し安心することができた。
「それでは、具体的にどうやって協力するかを話し合いましょうか」
美咲はすぐに次の話題に切り替えた。双葉の表情が緩んだ隙をついて、冷静に次のステップを進めようとしている。
「そうだね。とりあえず今の情報を共有して、お互いがどこまで知ってるか確認しよう。それから具体的な動きを考えればいいと思う」
双葉もそれに同意し、机の上に身を乗り出した。その目には真剣な光が宿っている。
「了解です。それでは、私から整理した情報を話しますね」
美咲は一歩リードしつつ、冷静に状況を説明し始めた。双葉が既に話していた内容を補足しつつ、自分が掴んでいる追加情報を交えていく。
双葉も疑問を挟みながら、しっかりと耳を傾けている。少し前の緊張感が嘘のように、二人の間に穏やかな空気が流れていた。
俺はその様子を静かに見守りながら、これで本当に協力関係が築けるかもしれないと感じていた。
こうして、三人で動く準備が整った。ただ、問題はこの協力が本当に信頼に基づいて成り立つのかどうかだ。俺にはまだ、少しだけ不安が残っていた。
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