第39話 鍛冶工房での作業
ファミリアに戻ってからの数日は、子供達に勉強を教えたり、菜園や果樹園を見回ったりしていた。それ以外の時間はパインの工房で、煌晶石からイディアル輝石を作って色々と実験していた。
イディアル輝石は単体だと硬いけど脆いという欠点があるので、少しずつ鉄を配合してイディアル合金を作って強度の変化を実験をしたの。
しかし、黒照石と鉄の配合から作った黒鉄ほどの成果は出なかった。
「魔力浸透率は良いのに、ここまで鉄との相性が悪いとは思わなかったです」
思ったような成果が出なかったので、パインの表情は冴えない。私は直ぐに良い成果が出るなんて思ってないので、声を掛けて慰めたの。
「こういう実験や検証は失敗が殆どで、成功する事は奇跡に近いからね?過去の鍛冶師達もたくさんの失敗を積み重ねてる筈だよ。黒鉄やイディアル輝石なんかも、何百年も掛かったんだと思うから私達も頑張ろうね」
「そうですね。この程度の失敗で落ち込んでる場合じゃないですよね!」
合金ばかりでは思考が煮詰まるので、少し気分転換を兼ねて、イディアル輝石の特性を更に活かす方法を考える事にしたの。
「イディアル輝石ってさ、魔力浸透率が高いからその特性活かしたいよね。抽出する時の濃度上げると更に浸透率が良くなるのかな?」
「良くなるとは思うけど……更に硬くなって脆くなるから武器としては使えないかと」
パインの言う通りで、結晶状態なら砕く事が出来ないほどに硬いけど、加工すると脆くなる。逆に結晶の状態で使うなら問題ないので、銃に使えるんじゃないかと思った。グリップにイディアル輝石を仕込んで、マガジンの場所に魔力を集めてから、トリガー引いて発射する感じかな?言葉で説明をしても理解するのは難しいと思ったので、絵に書いて説明をした。
「グリップの指に当たる所に仕込むのなら、加工して脆くなって問題なさそうですね!」
「パインは抽出濃度を上げられるか試してくれる?私は銃の構造を考えてみるよ」
「判りました」
これが良い気分転換になって、銃の開発も進めば最高なんだけどね。問題は銃の構造なんて全く知らないので、どうやって銃を作成するかだ。
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