第77話 初代女王 ハルカ

 トラパーネがファミリアの住民に声をかけに行ってる間に、私は並列思考セレブロから進化についての説明を受ける。


 種族が粘性吸血竜神スライムヴァンドラゴンとなり竜種の能力が身に付いた。


『遂に竜種に成っちゃったんだね』

『うん、後は元々のスキルが強化されたものがあるから報告するよ』


 進化に伴って一部のスキルが強化されたらしい。その内容は以下の内容だった。


 先ずは眷属化で、私が【血晶石】を与えた者が眷属になるのとは別に、血を与えることで準眷属を持つことができるようになった。違いは1,000年以上の寿命から500年程度の寿命になるのと、超速再生ではなく高速再生になっていたりする。ようは眷属の劣化版といったとこだね。


 次は超速再生から神速再生になった。これまでは意識すれば10秒以内に再生していたのが、失った瞬間に元通りになるの。並列思考セレブロが言うには実質的に不死身になったらしい。


『うわぁ~、理論上は不死身になったのね。死なないのは嬉しいかな?それよりも準眷属とは凄いね。もし、住民全員を準眷属にしたらさ、他国と戦争になっても負けることはなさそうだね』

『まぁ、ハルカ1人で地竜砲ドラゴバスターを撃てば勝てそうだけどね』

『それもアリかもね』


 並列思考セレブロからの報告を聞いてるとトラパーネが戻ってきて報告を受ける。


「ハルカ様、住民が集まりました」

「うん、行こうか」


 トラパーネの先導で移動していくと、階段を降りずそのまま2階にあるベランダに案内された。嫌な感じしかしないので立ち止まる。


「パーネ?まさかベランダの上から、みんなを見下ろして発言をするんじゃないよね?」

「その通りです。国を目指すのですから、ハルカ様はその頂点である女王になる訳です。これからは国民に向けて発言される時は、このようなスタイルで行います」


 女王とか言われても、そんな柄じゃないので助けを求めてアニエラ達の方を見ると、眷属全員がトラパーネの意見に同意のようで、『うん』と大きく頷くだけだった……。


(マジか……、大勢の人前で何を言えばいいのかな?あっ、緊張してきたよ)


 ここまで来ると引き返せないので、私は意を決してベランダに出て住民の前に姿を見せると、まだ100人にも満たない住民達から歓声があがる。


 トラパーネが右手をあげると、歓声が『ピタリ』と止まり静かになる。


「先日、ハルカ様は地竜アースドレイクを見事に討伐されて、粘性吸血竜神スライムヴァンドラゴンへと進化された。今まだ小さな集落のファミリアだが、ハルカ様を中心にファミリア王国の建国を目指す。ハルカ様はファミリア王国初代女王に就かれることを宣言されるのを、心して聞くように」


(待て待て待て!そんな話は聞いてないよ?)


 トラパーネがファミリア王国だの初代女王だの、事前になんの報告もなくみんな前で宣言してまい、その後は建国を目指すことや、初代女王に就くこと宣言したのだった……

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