第78話 打診 準眷属

 私はまだ国と言うには程遠いファミリアの初代女王に就任した。女王になったから何かが変わるという訳ではなく、いつも通りに眷属と長い夜を楽しんでから1日が始まる。


 ベッドで横になっているトラパーネを眺めながら、均整の取れた綺麗な双丘に手を伸ばしてから、指先で軽く先端に触れる。


『ビクッ』

「あっ……、ハルカ様っ」


 軽く触れただけなのに、トラパーネは直ぐに目を覚ますと上気した表情で抱き着いてきて、朝食の前に楽しむことになったの。


 少し遅めの朝食になり、食堂に着くとエリカが『ニヤニヤ』しながら話しかけてきた。


「朝からおっ始めるとは、女王様はお盛んだねぇ〜」

「あら……、声が漏れてた?」

「いや、並列思考セレブロから遅くなると連絡が来たんだよ。朝からそんなに激しかったのかい?」

「ううん、いつも通りだよ?」

「って事は激しかったんですね」


 私とエリカが話してると、ルカが朝食を私の前に置いてから話に加わってきた。


 私が来たことで朝食会が始まる。席に着いてるの待たせるのは気が引けるので、先に食べてもらっても良いんだけどね。そんな中、朝食を取りながら今日の予定などを話し合う。


 先ずは、ルカからエルフ達の作業分担について説明があって、森での生活に長けているので、ヴェルジェ指導の下で果樹園で働いてもらうことになった。ただ、他の作業に興味がある者は、アネロを通して作業適性を見極めてもらって、適正と判断すればその職に就いてもらうの。職業選択の自由とまではいかないけど、適材適所に人員を配置したいからね。

 次に獣人達についてはアロナ以外は子供ばかりなので、先ずはしっかりと教育を受けてもらう。教育係はルカが受け持ってくれるそうなので、任せておけば大丈夫だね。午前は勉強を、午後はアグリの農園の手伝いをして、恵まれた身体能力を活かしてもらうの。


 その後もアネロからは、ファミリア商会の事業拡大で、ダンジョン産アイテムの販売を始めるのなら、従業員を増やさないと対応できないことを聞かされたので、近いうちに新規採用をすることにした。


 一連の報告が終わったところで、私からみんなに向けて準眷属のことで話しかける。


「進化したことで、〚眷属化〛の新しい能力の準眷属こことなんだけど、色々な制約があるの。それでも準眷属になりたい者がいたら、その望みを叶えようと思うんだけどどうかな?」

「あの〜、その制約とは?」


 メドサンが聞いてきたので、眷属と準眷属の制約について説明をする。


「私の命令に絶対服従になること、寿命が500年と非常に長くなること、繁殖能力がなくなり子孫を残せなくなるから、愛する人ができても子供を作れないんだよ。だからよく考えてから答えを出してね」

「……」


 説明の後は沈黙が続いた。


 この3つの制約があるので、簡単に準眷属になりたいとは言えないだろうと思ったの。

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