第41話 並列思考の本音

 岩場へ向かう為に町を出る時に、門兵には野営を伴う討伐である事を伝えておく。


「ハルカちゃん、おはよう♪今日は討伐に出るのかい?」

「おはようございます♪今日は南の岩場まで岩蜥蜴ロックリザードの討伐へ向かうので、今日は野営になるので戻らないです」

「えっ、岩場まで?女の子3人で行くのかい?」


 門兵は女3人での岩場への討伐と聞いて、心配そうな顔をしながら聞いてきたけど、エリカが笑いながら返事をした。


「あははっ、心配は要らないよ!あたい達が集落から町に来るまでは野営をしてたし、岩蜥蜴ロックリザードは何度か討伐してるから大丈夫だよ!」

「そうなんだね。でも、女の子だけの討伐だから賊には気をつけてね」

「賊が現れたら返り討ちにしてやるよ!」

「エリカちゃんは頼もしいね。2人をしっかりとサポートしてあげてね」

「あぁ、任せな!ハルカ行くよ」

「うん、じゃあ、行ってきますね♪」

「行ってらっしゃい!」


 門兵への挨拶と報告を済ませて、私達は南へ向かって移動を開始した。町の周辺は人目が気になるので、人気ひとけが無くなるまでは徒歩での移動となるの。空を飛べる人なんて普通に居ないから、いくら偽装していてもそんな姿を見られたら人ではないバレるからね。


 1時間ほど歩くと並列思考セレブロが、周辺に生命体の気配が無い事を知らせてくれたので、私達は飛行で移動する事にした。


「ハルカ、もう飛んでも良いんでしょ?」

「うん、一応〚隠密ステルス〛を発動させるからさ、2人とも私と並んで飛行してね」

「「OK!」」

並列思考セレブロはナビゲーションよろしくね♪』

『OK!周辺マップは理解してるから任せて!』


 私達は〚飛行〛を発動させて身体を浮遊させて移動を開始する。吸血鬼ヴァンピールになって日が浅いエリカは、スームズな飛行がまだ出来ないので私達が合わせながら飛行した。


「慣れれば便利なんだろうけど、地面に足が着いてないと変な気がするね(苦笑)」

「直ぐに慣れるよ(笑)」

「エリカ、足を開けるとパンツ丸見えだよ〜」

「あんた達は日頃から裸の付き合いをしてるから、下着くらい見られても恥ずかしくないよ」


 そうか、人には見られてないから良いけど、スカートとで飛行すると下着が丸見えになっちゃうのね(汗)

 討伐用にレギンスでも作って穿かないとね。男性の従者が出来て、下着を見られるのは流石に恥ずかしい。


『ハルカは男の従者を作るのかい?僕は嫌だな……ハルカが男に抱かれるところは見たくないからさ……』

『ははっ、男の従者が出来たとして、抱かれるとは限らないでしょ?私は並列思考セレブロやアニーとの関係に満足してるからね』

『でも、男の性器は形が独特で気持ち良いかも知れないよ?試したくはないの?』

『考えた事ないよ(笑)』

『僕は独占欲が強いのかな?アニーやエリカは大丈夫だけど、男に対して嫉妬しそうだよ』

『気にしすぎだよ。私は並列思考セレブロの事が大好きだからね♪』

『うん、ありがとう』


 岩場へ向かう途中で並列思考セレブロの意外な本音を聞けて嬉しかった。私が異世界転生をしてからずっと一緒に過ごして居たから。今更って思うかも知れないけど、やっぱり並列思考セレブロは私にとって特別だからね。

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