第28話 新たな眷属

 私達がトーレス町で暮らし始めて、1ヵ月が経過した。〚錬金術〛〚調理術〛〚裁縫術〛〚薬剤調合術〛〚医療術〛等のスキルをコピーした。〚能力強奪〛はこういう町中では最高に便利な能力なんだよね。

 

 本当は上位の冒険者と手合わせして、強力なスキルをコピーしたいんだけど、この町には上位の冒険者は居ないんだよね……


 それと、冒険者協会長のベスさんは、私の作る料理が気に入ったみたいで、週に数回は私達の家に招いて食事をする仲になったの。

 今日もベスさんが家にきて一緒に食事を楽しんでるの。


「美味い、ハルカの作る料理は絶品だね。町のレストランより美味いよ」


 まぁ、料理人から〚調理〛のスキルをコピーしてるからね(笑)


「料理は毎日作ってるので上手くなりますよ」

「私も毎日作ってたけど、こんな味は出せないよ。ハルカには料理の才能があるだね」

「ベスさえ良ければ、毎日食べに来てくださいよ。ルカさんも誘ってもらって良いですから」

「ルカも良いのかい?それは喜ぶだろうね♪」


 食事を楽しんでいると、家のドアを激しくノックする音がした。


『ドンドン!』

「おい、小娘ども!灯りがついてるから居るんだろ?ちょっと出て来いや!」


 この町で唯一のB級ハンターであるアバルが私達の家にやって来たの。ベスさんに助けられて以来なにも言ってこなかったので、今になって感があった。


「困った奴だね。私が言い聞かせるよ」

「私達も一緒に行くよ」


 入口に向かって行くと、待つ事が出来なかったのか?ドアを蹴破ってアバル達が家の中へと入ってきた。


「居るじゃねえか!早く出で来いよ!」

「アバル!前にも言っただろう?強引な勧誘は規則違反なんだよ。ライセンスをとりけされたいのかい?」

「チッ、また婆さんかよ……いい加減目障りだな。今ここで死ねよ!」


 そう言って、手に持ってた剣をベスさんの胸に突き刺した。


『ドジュッ』

「ア、アバル……正気なのかい……うぅ……」

「口うるせえんだよ!小娘どもは誰にも言えねえようにしてやるからバレなきゃ問題ないぜ」


 アバルが剣を引き抜くとベスさんはその場に倒れた。


「はぁ、はぁ……逃げるんだ……早く」


 ベスさんは私達へ逃げるように伝える。

 私は目の前で倒れたベスさんを見て


「お前……思い通りにならないからってこんな事を……許せないっ!」

「なにが許せないだ!従順になるまで可愛がってやるぜ!お前ら、押さえつけろ!」


 アバルの命令で3人の男達が私達に向かってきたけど、私が動く前にアニエラが血剣ブラッドソードを発動させて瞬殺した。


「ハルカ、雑魚は殺っちゃって良かった?」

「うん、ありがとう」

「おっ、お前達は何なんだ!」


 取り巻きの3人が瞬殺されたアバルは、焦りながら私達に怒声をあげた。


吸血鬼ヴァンピールだよ。まだ間に合うかも知れないから、お前は死ね!」


 その言葉と同時に血剣ブラッドソードを額に突き刺しアバルを殺した。ゴミは放っておいて直ぐにベスさんの元に寄って抱き上げる。


「はぁはぁっ、嬢ちゃん達に最初から任せておけば良かったね……」

「ベスさん、私と血の契をすれば吸血鬼ヴァンピールになって助かると思うの。私と血の契をしませんか?」

「はぁっ、嬢ちゃん達と一緒に暮らすのも悪くないね。頼むよ……」


 私はその言葉を聞いてから、『コクリ』と頷いて【血晶石】を作りベスの額にゆっくりと埋め込んで、アニエラに続いて2人目の眷属としたの。

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