第61話 アネロの告白

 少しずつ、本当に少しずつだけど、ファミリアを発展させた先に、国として独立するような感覚で過ごしてたけど、獣人達の不遇な扱いを知って、それを認めるている他国への圧力と、弱い立場の種族の受け入れ先として、早急に国を興すことにした。


「国を興すには、なんと言っても国民の確保が必要になるよ。誰構わずに受け入れていると、ならず者国家になっちまう。受け入れ基準を設けないといけないよ」


 エリカからは、立場が弱い者でも受け入れ基準を設けないと、ゴロツキばかりのならず者国家になると言われた。立場の弱い種族=善人という訳ではないので、誰でもという訳にはいかないとのことだけど、これにはアロナも首を縦に振った。


「エリカさんの言うとおりです。獣人にも悪人は多数いますから、獣人を裏切り金で住処を教える者もいるのです」

「わ、私達のような子供はしっかりと教育をすれば、悪に手を染めることはないと思います」


 メドサンが少し遠慮気味に子供達ニーニョズ4人の例を伝えると、私は素直に育っている4人に優しい視線を向けて頷いた。


「そうだね。子供はちゃんとした教育を実施すれば問題はないかな。子供と大人の境界線と、受け入れ基準をどうするかだね」

「私としては全国民を眷属化をすれば、ハルカ様を裏切ることは絶対にないと思うのですが、そういう訳にはいきませんよね?」


 トラパーネが眷属化するのが手っ取り早いと言った。それに関しては、安易に眷属を増やすことはしたくないと思ってるので、私の考えをこの場で伝えることにした。


「眷属化だけど、安易に増やしたくないかな?確かに私を裏切ることは絶対にないけど、愛する人との間に子供を授かることができなくなるの。その覚悟も必要だからね」

「あの~、今言われた眷属化とは、ハルカ様の吸血鬼ヴァンピールの能力ですよね?私も望めば眷属にして頂けるのですか?」


 アネロが望めば眷属になれるのかと聞いてきた。血晶石を額に埋め込むだけで済むけど、安易に増やすことはしないと言ったので、それだけではダメだと伝える。


「望むだけではダメだよ。半永久的な生命を得るんだから、そのことに耐えれる精神力は必要だし、今の眷属を見てもらえば判ると思うけど、特別な職務につく優秀な人材だけだからね」

「それは判ってます。でも眷属を増やさないと、立場の弱い種族を救う活動に、支障が出ると思います。それに……、私は今回のハルカ様の行動を見て、お願いしたいことがあります。私の種族であるエルフを救って頂けませんか?」


 これまでずっと隠してきたエルフの事を告白して、エルフを救って欲しいと伝えてきたのだった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る