第六章 国造り編
第1話 忖度なしに評価しますね
ファミリアの移設が終わって、これからはファミリア商会の立ち上げへ本腰を入れる。
先ずは従業員の確保だけど、これはルカとトラパーネが当たってくれていて、今日は候補者を紹介してもらう日らしいので、私も一緒に付いて行く事にした。何でも雇用する時に禁止事項を設けて、その内容を書き留めたり、口にする事が出来なくする従属契約で探してるので、紹介に少し時間が掛かったみたい。そんな特殊な契約をしてまで働きたいのかな?って思ってしまった。
「本当にそんな厳しい条件で、うちで働きたいと思う人がいるのかな?」
私がルカに、働き手が見つからないと思ってその事を伝えると、顔色を変えずに平然と返事をした。
「問題ないですよ。それなりの給金を支払いますので、必要な人数は揃うと思います」
「そんな高額な給金を払えるの?グローニャのダンジョンで遊んだり、必要物資を買う為のダミー商会みたいなもんだよ?」
高額な給料を払える余裕なんてないと思ったので、支払いが大丈夫なのかを確認すると、ルカは首を横に振ってから自信満々に応えた。
「ご心配なく、間違いなく売れますよ。ハルカさんには、製造を頑張ってもらう可能性があると思いますので、覚悟してくださいね」
「う、うん。作るのは一瞬だからいくらでも作るけど、本当に売れるのかな〜?」
「大丈夫です。ハルカ様のデザインセンスは抜群に良いので、驚くほど売れると思いますよ」
話しをしてるとリクルト商会に到着したので、ルカが先頭で建物の中へ入っていく。既に担当者が待機してたようで、私達を確認すると直ぐに近寄って挨拶をしてきた。
「ルカ様、トラパーネ様、お待ちしてました。部屋へ案内しますのでこちらへどうぞ!」
「アネロさんこんにちは、今日は私達の代表を連れてきました」
ルカが私を連れてきた事を伝えると、2人が私の隣に移動したので、一歩前に出て帽子を取って挨拶をする。
「初めまして、ファミリア商会の代表を務めるハルカ.ファミリアです。良い人材を紹介してくださいね」
アネロは私の顔を見て一瞬固まった後に、慌てて挨拶を返した。
「申し訳ありません。従属契約課のアネロと申します。お忙しい中お越し頂き誠にありがとうございます。どうぞこちらへ」
部屋へ案内されると、間を置かずに紹介する人材の資料を渡された。資料は4枚で驚いた事にその中には、私達の対応をしているアネロも含まれていた。ルカは驚きながら確認をする。
「渡された資料の中にアネロさんが含まれているのですが、私達が気に入ればリクルト商会を辞められるのですか?」
「はい、従属契約とはいえ、今の給金より高額なので可能なら転職を致します」
「判りました。忖度なしに評価しますね」
「はい、よろしくお願いします」
そこからは、渡された資料を見ながら選考を始めたの。
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