第41話 追跡者?

 ヤリテールとの取引を終えてから、インビエルノ王国から調査団が来ていると聞いたので、フェルナンド伯爵へは向かわずにファミリアへ戻る事にした。


 商会の前までヤリテールが見送ってくれた。


「スプリングさん、良い取引が出来ました。またいらっしゃる時を楽しみにお待ちしてます」

「こちらこそ感謝してます。では失礼します」


 挨拶を済ませてからは徒歩でトーレス町を出て、人目のつかない場所まで移動してから転移でファミリアへ戻ろうと思った。


 門を目指して歩いてるいると、並列思考セレブロから後を付ける者がいると教えてくれた。


『ハルカ、ヤリテール商会を出てからずっと、2人の男が一定の距離を保ちながら後を付けてる。インビエルノ王国の調査団かも知れないよ』

『まぁ、私達が暮らしてた家だったから、ヤリテールが関与してると疑うよね。処分すると面倒な事になりそうだね』


 対処方法を考える時間が欲しいので、私は屋台で食べ物を買ってから、見晴らしの良い公園へ向かってベンチにかけて食べ始める。

 私を付けていた2人も公園内に入ってきて、相変わらず一定の距離を保っていた。ただ、この時点で王国の調査団の者ではないとハッキリと判った。プロの追跡者ならここで公園に入るような事はしないからね。感知の範囲外ギリギリで付けるにしても、人気のない見晴らしの良い公園では感知の範囲外でも姿を視認出来る。


 おそらく、私がヤリテール商会で取引をして、金目の物を持っていると思った物取りの2人組っぽい、それなら特に警戒をする必要はないので、食べ終えると何事もないように門を通ってトーレス町の外へと出た。


 街道を進んで周りの人気が完全になくなると、2人の男が予想通りに近寄って来る。


「おい、命が惜しければ金目の物を全て出せ!」

「えっ、渡しても命を奪うつもりなんでしょ?ウソを付くのは良くないと思うよ?」

「なっ、なにを!」


 テンプレのセリフを言った男に向かって言い返すと、図星だったのか顔を真っ赤にして、手に持っていたナイフで切り掛かろうとする。


「大人しく取られるつもりはないの。私を襲った事を後悔しながらあの世へ逝ってね」


 私の代わりに並列思考セレブロが魔法を発動した瞬間、男達の体から首が『ポトリ』と地面に落ちて、2人はあの世へ逝った。


「ゴミは燃やした方がいいね〚フレイム〛!」


 2人の遺体を跡形残らず焼却したのを確認してから、ファミリアへと転移して戻ったの。

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