第60話 港湾都市 グローニャ

 現地調査から戻って盛大な肉パーティーを終えた後に、有力な候補地を見つけた事を伝えた。


「パーネが見つけたんだけど、水量が豊富で今の菜園と果樹園をそのまま持っていけるの。気になるのは菜園を拡張する時に、面積が1.6倍にしか出来ない事なんだよね」


 私の説明を聞いてルカが口を開いた。


「まぁ、候補地が見つかっただけでも良かったじゃないですか。まだまだ現地調査を続ければ必ず良い場所が見つかりますよ」


 アグリとヴェルジュは安心した表情で頷いていた。1回目の現地調査で候補地が見つかったからだね。引き続き現地調査を頑張って2人の為に最高の場所を見つけてあげたいと思った。


 私からの報告が終わった後に、エリカが取引をする候補地について報告をしてくれた。


「次はあたいだよ。レアルコンプレト王国での取引先だけど、いい場所が見つかったんだよ」

「おぉー、どんな所なの?早く教えてよ!」


 私が喰い付くようにエリカに教えてと頼むと、ヤリテールから渡された地図とメモを取り出して、机の上へ広げてから説明を始めた。


「コレがエスペランサ大陸の地図だよ。インビエルノ王国がここで、レアルコンプレト王国はここだ。あたいが見つけた場所はここ港湾都市 グローニャだ。国一番の物流拠点で産業も発達してるんだよ」


 地図で指さされたのは、レアルコンプレト王国の西側にある港湾都市で、物流の拠点でありながら鉱工業などの生産も盛んな所らしいの。


「良い所なんだね。それでダンジョンは近くにあるの?」


 取引をするには最高の環境だけど、もう1つ重要なダンジョンの事が説明に無かったのでその事を確認すると、エリカは自慢気な笑顔を見せた。


「なんと、ダンジョンが港湾都市内にあるんだよ。しかも最下層が何階かも判らないほどの、超高難易度ダンジョンだよ!」

「超高難易度!それは面白そうだね。どんなダンジョンなの?」


 超高難易度なんて聞かされて、私のテンションが爆上がりした。どんな魔物が現れるのか気になって仕方なかったので、目を輝かせながらダンジョンのことを聞いたの。


「判ってる範囲で最強の魔物はドレイクが居るらしいよ。他にも貴重な鉱物が取れる階層もあるらしいから、かなり楽しめるダンジョンだと思うよ」

「もう、そこで決定だね!問題は簡単に行ける場所なの?行った事がないと転移は出来ないよ」

「陸路で進めば2カ月は掛かるけど、あたい達は飛べるからね直ぐに着くんじゃないかい?」


 飛行で移動すれば直ぐに着くと言われて、直ぐにでも出発したくなった。その事に並列思考セレブロが気付いて声を掛けてきた。


『ハルカ、ちゃんと予定を立ててから出発するんだからね?衝動的に動いちゃダメだよ?』

『うっ……そうだね。ちゃんと予定を立てるよ』


 並列思考セレブロから言われた通りに予定を立てて、港湾都市 グローニャを目指す事にしたの。

 


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