第3話 従属契約 完了

 忖度抜きで甲乙つけがたいという事で、4人全員を雇う事にした。


「4人とも素晴らしい人材だから、私の権限で全員を雇う事にしたよ。手続きはアネロに頼めば良いのかな?」


 私が全員を雇う事を告げると、アネロ以外の3人は満面の笑みを浮かべる。従属契約とはいえ破格の給金を得る事ができるからだね。ただ、アネロだけは少し複雑な表情で私に質問をする。


「雇って頂けるの大変嬉しいのですが、高額な給金を全員に払えるのですか?」


 全員を雇うとなると最低でも金貨20枚が必要になる。まだ立ち上がってもない商会に、それだけの金貨を用意出来るのか不安に思うよね。その言葉を聞いた後に、満面の笑みを浮かべていた3人も不安な表情になる。すると、ルカが従属契約書を4人に手渡してから説明をする。


「その事については、この従属契約を読んでサインをした方に詳しく説明をします」


 それぞれが契約書を手に取って内容を確かめるると、4人全員が顔を見合わせた後に、アネロが代表して質問をする。


「この、仕事内容が気に入らなかった場合の退職金って、本当なんですが?」

「本当ですよ。商会で働いて不快な思いをさせるのですから、給金の5倍の退職金を払います。秘密事項は退職後も有効になるので、その詫び金と思ってください」

「退職金目当てで辞めると言い出す者が出るんじゃないですか?」

「長く働き続ければ、それ以上の収入を得る事が出来るんですよ?サインをして説明を聞いた後に気に入らなかった場合も退職金は払います。説明内容が秘密事項になりますからね」


 4人にとって不利な内容はない。当然、全員が従属契約書にサインをしたので、ファミリア商会で販売する商品のクオリティーと、私のスキルを活用することで、製造コストが殆ど掛からない事を説明した。これには行商をしてたロキシーは目を丸くして驚いていた。


 取り敢えず私達が説明したい事は話したので、この時点で気に入らない者が居ないかを確認する事にしたの。


「どう?今の時点で辞めたいと言う人が居たら言ってね。退職金はちゃんと払うから」

「「辞めません」」

「そう、良かったよ。これからファミリア商会の店舗になる場所へ案内しようと思うんだけど、皆の予定はどうかな?」

「「大丈夫です」」


 誰も辞めると言わなかったので、ファミリア商会の店舗になる場所へ案内する。そしてファミリアの屋敷への転移魔法陣を使って移動をして、みんなと顔合わせをする事にした。


(転移魔法陣の事を知ったら驚くだろうな〜)


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