第33話 森の制圧者

 4体のゴブリン達が近付いてくる。


 アニエラは双剣を構えて、私は極小スライムに変化してアニエラの手首に巻き付いた。


「人か?違うな魔物ではなく魔族なのか?」


 1体のゴブリンがアニエラに話し掛けてきた。


「ハーフヴァンパイアだよ。この森で将軍級ジェネラル狩りをしてて、お前が最後の1匹だよ。」


 アニエラは挑発するように返事をした。


「まだまだ、子供ガキのヴァンパイアなら恐れるに足らず。殺っちまうぞ!」

「ハーフヴァンパイアだよ。ば~か♪」


 杖を持ったゴブリンが魔法を唱えて火の玉を放っできたけど、並列思考セレブロが〚水盾ウォーターシールド〛を展開して相殺する。次に剣を持ったゴブリンが斬り掛かって来たので、私は〚風刃ウインドカッター〛を放って両断した。


「無詠唱か、厄介だな…固まらず離れろ、同時に仕掛けるぞ!」


 1対複数の戦い方の定石なので、並列思考セレブロが相手が動く前に〚砂場サンドピット〛で封じると、アニエラは動けないゴブリンを双剣で斬り裂いた。私も負けじと〚石槍ストーンスピア〛で串刺しにして、残るは将軍級ジェネラルのみとなった。


子供ガキでも魔族か…化物め。」

「褒めてくれてありがとう(笑)」


 実際は私と並列思考セレブロが合わさってるんだけどね。


「うおーっ!」


 将軍級ジェネラルは声を荒げながら槍の一突きを放ってきた。アニエラと並列思考セレブロは〚石盾ストーンシールド〛を発動させると、『ゴキッ!』『ゴッ!』1枚目の盾は破壊されたけど2枚目の盾で受け止める。将軍級ジェネラルは突きを受け止められた事で、動きが一瞬止まった隙を私は見逃さなかった。アニエラの手首から離れ、身体を刃に変化させて首を斬る!


『ズバッ!』


 切断とまでは行かなかったけど、かなりの深手を負わせる事が出来たの。


「ぐっ…ぜはぁ〜ぜはぁ、息が…」

「もう、攻撃は必要無いね。」

「ハルカの刃に反応するなんて、流石は将軍級ジェネラルだったね!」


 首の半分を斬られ呼吸も出来ず、死を待つのみの将軍級ジェネラルは必死に声を出す。


「ぜはぁ…最初から、ぜはぁ…2匹だったのか…まんまと、殺られたぜ。」


 その言葉を残して将軍級ジェネラルは絶命した。私達は沈黙の森フォレスト オブ サイレンスの制圧者となったの。

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