第52話 ゴーランとの会談

 今日は朝から冒険者協会へ出向いて協会長との会談をする事になっている。『ウザい』おっさんなので無視したいところなんだけど、ルカさんに迷惑をかけるので素直に応じるの。適当に話をしてお昼までには戻る予定。


 今日はなかなか忙しくて、昼からはヤリテールと鍛冶場の事で打合せをするの。パインの望む最高の鍛冶場を作って思う存分に腕を振るって欲しいね♪


 朝食を済ませて冒険者協会へ向かおうとすると、アニエラとエリカも立ち上がったの。


「あれ?2人も会談に来るの?」

「うん、アイツがハルカに触れようとしたら、私が竿を握り潰すからね(笑)」

「ゴーランが調子に乗ったら、あたいが玉を砕いてやるからね(笑)」


 2人は穏やかな会談にはならないと思ってるのね(汗)3人でパーティーを組んでるから、2人が会談に加わっても問題はないよね?


 私達が冒険者協会の建物へ入ると、ルカさんが笑顔で手を振って出迎えてくれた。


「おはようございます♪協会長の部屋へ案内します。こちらへ!」

「おはようございます。よろしくね♪」


 特に時間は指定しなかったけど、会談は直ぐに始まるみたい。協会長って暇なのかな?


『コンコン』

「誰だ?」

「ルカです。ハルカさんをお連れしました」

「入れ!」

「失礼します」


 部屋へ入ると、ゴーランが椅子に座りながら大きな机に両足を乗せていた。


『コイツ……やっぱり嫌いなタイプだ』

『アイツ……直ぐにシメてやろうか?』


「そこに座れ!」

「はい、ハルカさんお座りください」

「「はい」」


 ゴーランは両足を机に乗せて座ったままで、私達を見下す感じで睨んでいると、ルカさんからゴーランへ会談の内容を促す。


「会長、ハルカさんが忙しい中、時間を作ってくれたんですよ?呼ばれた理由を説明してください」


 ルカさんの言葉を受けて、ゴーランは葉巻に火おつけて1回ふかしてから口を開いた。


「率直に聞くぞ、お前達が前協会長エリザベスをのか?」

「はぁ?」

「あの人は俺の伯母でな、お前達の家へ食事に行ってから突然失踪したんだ」

「あの日は食事を済ませた後は帰って行ったので、その後の事は私にも判らないですね」


 実は隣に座ってるとは言えないからね。適当に嘘をついてごまかす事にした。私の返事に対して嘘だと思ったゴーランは、足を上げて机に振り降ろして真っ二つ壊す。


「そんな事を信じると思ってるのか?拷問師て口を割らせてもいいんだぞ?」

「ちょっと会長!拷問なんて、いくら何でも横暴過ぎますよ。」


 ルカさんはゴーランに対して苦言を言うが、端からルカさんを相手にしてないようで無視をして、私に詰め寄ってくる。


「てめぇ……あたいのハルカにその態度を取るなら地獄を見てもらうしか無いようだね!」

「あぁん?牛みたいな胸で俺をモノを挟んで性教育でもされてぇのか?」


 エリカがゴーランに啖呵を切ると、ゴーランも応えるように言葉を返して、エリカの胸を掴もうとすると、ゴーランの顔にエリカのパンチがめり込んで壊れた机までぶっ飛んだ。


「おらぁ〜!」

『グシャ!』

「がはっ……」


 エリカはゴーランに鞭を振って首に巻きつけると最後通告をする。


「おい、ゴミ野郎!勝手な思い込みで、ハルカを犯人扱いする程度の頭なら無い方がいいだろ?このまま『バイバイ』するかい?」

「がはっ、待って……悪かった」

「ゴミが調子に乗るんじゃねぇよ!ちゃんと協会長の仕事をしな!判ったかい?」

「わ、判りました……」

「ルカ!会談は終わりでいいね?」


 エリカがルカさんに会談の終わりを告げると、『ぽか~ん』と口を開けていたルカさんが正気に戻って返事をする。


「は、はいっ!ハルカさん、貴重な時間をありがとうございました!」

「じゃあ、ルカには外まで見送ってもらうよ」

「はい!かしこまりました」


 ゴーランの一方的な思い込みにより、私はベスさん殺しの犯人にされるとこだった(汗)

 まぁ、エリカの力技で誤解は解けた?みたいだし、ルカさんに見送られて冒険者協会を後にしたの。

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