実はスライムって最強なんだよ？初期ステータスが低すぎてレベルアップが出来ないだけ…

第67話 グローニャで家を買う

　港湾都市グローニャに到着して、先ずは街並みを楽しみたかったけど、今の私は周りの視線を集めてしまうため、目立った行動を避ける事にして、本来の目的に集中する。

　先ずは、グローニャへ転移する為に必要な、屋敷を購入する為に不動産を取り扱う商会を探す。その辺りの聞き込みはエリカに任せたの。

　私とルカが馬車で待っていると、エリカが戻ってきて馬車のドアを開ける。

「ハルカ、不動産を扱う商会を聞き出したから向かうよ。ルカは商業ギルドへ向かうかい？」

「いいえ、購入する時に契約書類が必要だから、私が必要だと思いますからね。商業ギルドはその時に場所を聞けば良いですからね」

「そうだね、ルカが居てくれた方が良いね。エリカ、このまま商会へ向かってくれる？」

「判ったよ」

　商会へは3人で向かう事にしたので、エリカは御者席に戻って馬車移動を始めると、10分程で【フェラー商会】という所へ到着した。商会の前へ馬車を止めると、建物から従業員が出てきて馬車のドアを開けて、挨拶と一緒に用立てを聞いてきた。

「ようこそフェラー商会へ、どういったご用件でしょうか？」

「私達はインビエルノ王国より商いをする為に参りました。グローニャで滞在するのに必要な屋敷を探しにきました」

「かしこまりました。店内へ案内致しますのでこちらへ、御者の方は停留場へ案内しますので、馬車の移動をよろしくお願いします」

　ルカが直ぐに従業員の質問に答えると、店内へ案内されたので、私はルカと共に馬車を降りてから店内へ向かうと、私の姿を見た全員の動きが一瞬止まったのが判った。

（やっぱり注目されちゃうのね……）

「こちらの部屋でお待ちください」

「ありがとう」

　私は周りの視線を感じながら別室へ案内された事で『ホッ』とした。案内してくれた従業員も私が礼を言うと、顔を赤らめながらお辞儀をして部屋を後にした。

『コンコン』

「失礼します。私は不動産の責任者をしてるコリーナと申します。滞在用の屋敷と聞きましたので、いくつかの物件を紹介させて頂きます」

「よろしくお願いします」

　コリーナとのやり取りは全てルカが行ってくれて、何件か紹介してくれた中から、メイン通りから少し離れた場所にある、1階が店舗に改装が可能な建物を私が選ぶと、そこからはルカとコリーナが全ての手続きを行ってくれた。

「書類関係の手続きは全て終わりました。建物代金は金貨1,000枚になりますが、支払いはどうされますか？」

　コリーナに支払いの事を聞かれると、ルカが私の顔を見たので返事をする。

「この場で支払います」

　そう言ってから机に金貨を『ジャラジャラ』と出すと、コリーナは目を丸くして驚いた。

「えっ、魔法鞄（マジックバッグ）ですか？」

「あっ、驚かせてごめんね」

「いいえ、金貨の確認をさせて頂きます」

　1,000枚の金貨なので確認に時間は掛かったけど、無事に確認が終わると笑顔で答えた。

「確かに金貨1,000枚の確認をしました。こちらが建物の鍵になりますのでお渡しします。本日はありがとうございました」

「こちらこそ、良い物件をありがとう」

　全ての手続きが終わったので、私達はコリーナに見送られながらフェラー商会を後にして、購入した屋敷へと向かったの。