第26話 アンデットマスター

「この扉の向こうにエリアマスターのドワイトが待ってるのだね。真っ赤な顔をしながら待ち構えているのかな?」

「ハルカ様、残念ですがドワイトも全身が骨になってるので、表情はありません。金骨化してると言えば良いのかな?黄金色のガイコツです」

「そうなんだ~、あれだけのアンデットを召喚してたから、凄い表情をしてると思ったのに、取り敢えずぶっ飛ばして先へ進もうか!」

「「OK!」」

「かしこまりました」


 トラパーネからドワイトが金骨化してると聞いて、怒った顔を見れない事を残念に思いながら、大きな扉を押し開けて部屋へと入った。


 部屋の中は通路と同じように、綺麗な石畳が敷き詰められていた。ただ、黄金色のガイコツどころか何も居ない、部屋の奥に大きな扉があるので、トラパーネが何か知らないか聞いてみた。


「パーネ、ドワイトが居ないね。あの扉の向こうに居たりするのかな?」

「マスタールームの事は詳しくは判らないですが、進むしかないのでしょうね」

「そっか、戦わずに進めるならラッキーだもんね。デス系を『サクサク』と倒したからさ、怖くて逃げたのかもね(笑)」


 逃げたなんて言った後は、笑いながら奥の扉へ向かおうとすると、部屋に怒りに満ちた声が響いたの。


「おのれぇ〜!誰が逃げ出すかぁ〜!部屋の中央へ進んだ所で、我とアンデットを召喚して急襲するのが定石だろうがぁ〜!」

「えっと……定石の作戦をそんな大きな声で言うとかさ、本当に大将軍だったの?(笑)」

「煩い!貴様達など作戦不要である!正面から叩き潰してくれるわ!」

「良いね!真っ向勝負面白いね〜」

「いざ参らん!」


 ドワイトの掛け声と共に周囲に煙が立ち上がって、100を越えるアンデットが現れた。デス系20%にスカル系80%といった感じかな?アンデット兵の奥に『ピカピカ』に輝く金骨のガイコツが、大きな槍を持って仁王立ちしてる。


「ぷっ、あれは目立ち過ぎだろうw」

「ははっ、センスの悪い飾り物だねw」


 エリカがドワイトを見て吹き出し、続いてアニエラも大爆笑していた。


「貴様ら……我を怒らせて正気を奪う作戦かも知れんが、戦いなれば我は無敵ぞ!メイジ達よ魔法で先制せい!」

「させないよ!〚翼刃ウイングブレード〛!ブレード射出!」


 ドワイトの指揮でスカルメイジ達が魔法を詠唱し始めたけど、射出したブレードは詠唱が終わる前にスカルメイジを倒して行く。


『シュン、シュンッ………』

『パラパラ……』


 魔法は発動する事なくスカルメイジを全て撃破すると、ドワイトの口から言葉が漏れる。


「なんだ……今のは……瞬殺だと?」


 ガイコツなので無表情な訳だけど、信じられないといった感じの言葉を漏らしてから、我に返ってスカルナイトへ突撃の指示をだす。


「強力な魔法であれば連続使用は不可能。次の発動までに一気に攻め立てろ!」

「ハルカ、私とエリカでナイトを殺るね!」

「うん、任せるね」


 アニエラとエリカは武器に魔力を纏わせて、突撃してくるスカルナイトを片っ端から倒していくと、あっという間にスカル系のアンデットは全滅した。残るはドワイトとデス系のアンデットのみとなり、簡単にぶっ飛ばせそうな気がしたの。

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