第9話 運命の遭遇

 中層を進んでいると〚臭感知スメルサーチ〛に反応があったの。魔物とかでは無くて肉を焼いた芳ばしい香りだ。


並列思考セレブロ、私の臭感知スメルサーチが反応してるけど、〚気配感知センスサーチ〛はどう?』

『200mの範囲内には何も無いよ。焼き殺された魔物があるのかな?確認だけしてみよう。』


 私は[槍蜂ランスビー]に変化して反応があった場所へ向かったの。


 そして向かった先は小さな洞穴があって、臭いは洞穴から出てきていた。

 このまま洞穴に入って確認するべきか考える。理由は気配遮断してる可能性があるから、相手が何者か判らずに鉢合わせになると、戦闘になった時に対応が出来ない危険があるの。


『取り敢えず洞穴に入ってみよう。状況次第で先へ進むかを判断しよう。』

『了解、判断は任せるね。』


 注意しながら洞穴に入ってみると、足下に少しだけと水の流れてるのを確認出来たので、私は水に変化して水流を逆上る。そのまま注意を払いながら進んて行くと、『パチパチッ』と音が聞こえ始めたの。そのまま進むと音の発生原因が焚き火であると判ったの。

 焚き火の周りには火の番をする者が1人と、睡眠を取ってる者が1人の合計2人の人間が居た。


『こんな場所に人間だよ。山脈を超えて来たのなら、このまま下がるべき?』

『いや、先に火の番を魔法で倒してくれる。寝てる方は僕が抑えるよ。』

『OK!フォローよろしくね♪』


 こちらに気付いて無いので、火の番をしてる者の背後に回って魔法で攻撃する。


『卑怯だとは思わない、これがスライムの戦闘スタイルだからね。〚風刃ウインドカッター〛!』


 火の番をしてる者の首を簡単に刎ねた。


『ボトッ…』


 首が地面に落ちる音がすると、寝ていた者が目を覚ます。同行者の無惨な状態を見て叫んだの。


「きゃぁ~〜!トラビスどうしてっ!」


 声の主は幼さが残る少女の声だった。並列思考セレブロが動きを抑えようとしたのを私は止めた。


『待って、少し話をしてみたいの。』

『ハルカの判断なら任せるよ。』


 私は遥の姿になり少女の前に突然姿を現して、怯える少女に優しく声を掛ける。


「こんな姿でごめんね…こんな場所で何をしていたのか教えてくれる?」

「わ…私は…アニエラ…私を追ってきたの?」

「私は追っ手じゃないよ。私は魔物だから敵だと思って攻撃したの。何故追われていたの?」

「私は…ハーフヴァンパイアだから…」


 幼い少女アニエラが追われる理由はハーフヴァンパイアだったからなの。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る