第51話 今後の対策③

 転移魔法陣を完成させて、魔法鞄マジックバッグも近いうちに完成させれば、ヤリテールとの取引は滞る事なく続けれる筈だけど、これだけでは対策は不十分かな?


「ハルカ様、トーレス町との取引は秘密裏に行えますが、ヤリテール商会が捜査の対象になる確率が高ければ、その時に商品の仕入れ量と販売量を見られると、その差に違和感を感じる筈です。そうなれば商会長のヤリテールが取り調べられて、ファミリアの存在を知られるかと思います」


 トラパーネが、ヤリテール商会の全取引を調べると、ファミリアとの繋がりが明らかになると指摘した。確かにかなりの量を私達が購入すれば隠しきるのは難しいか……

 私達が提供する入手困難な珍しい物も、普通に考えれば出所が怪しいと思うよね。


「トーレス町以外にも購入先を見つける必要があるって事だね。ここから近い場所だと調査団に気付かれるかな?」

「確かに近場は危険だね。ロックの足取りで確実に足を踏み入れてない所なら、調査団も深くは調べないだろう。そういう所を探すしかないね」

「真逆な方向の町か、思いきって国外へ行っちゃうかだね?」

「そういう事になるね」


 私が新たな購入先の話をすると、エリカが近場は避けるべきだと言ったので、それ以外の場所となるとかなり遠い所になるという結果になった。どうせなら、インビエルノ王国内よりも国外の方が面白そうなので、思った事をそのままみんなに伝える事にした。


「とうせなら国外に行ってみたいと思うんだけど、みんなはどう思う?」

「ハルカとならどこへ行っても楽しそうだから、私はどこでもOK!」

「「アニーに同意!」」


 アニエラが即答すると、周りも同じ考えみたいで即答してくれた。


 国外へ新たな購入先を見つける事は決まったけど、全く地理感がない私には目指すべき場所が判らないので、この世界で暮らしてる先輩方に意見を聞く事にした。


「私はこの世界の事はよく知らないからさ、先輩達の意見を聞いてどこへ行くかを決めたいと思うんだけど、お勧めってある?」


 私の質問をすると、先ずは最年長のエリカが最初に声を上げた。


「色々な物を手に入れたいなら港町が最適だろうね。交易船で世界中の様々な物が集まるからね」

「確かに色々な物が集まるのは良いよね。他にお勧めはないのかな?」


 エリカが港町と言ったので、必要な物が集まる場所となると他にないかなと思ったら、ルカが手を上げてから話しだした。


「港町だけじゃなくて、近くにダンジョンがある港町が良いかと思います。ダンジョンはそれぞれに特性が違うので、面白いドロップも集まるかと思いますよ」

「ルカの言う通りだね。港町だけならたくさんあるから絞るのが大変だけど、ダンジョン付きならそんなに多くないから絞りやすいね!」

「OK!ダンジョンがある港町でいいかな?」

「「OK!」」


 エリカもルカの意見に賛成みたいなので、インビエルノ王国外でダンジョンがある港町を探す事になったの。

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