第19話 トラパーネの眷属化

「どんな命令でも従いますからお願いします」


 トラパーネは私に命乞いをしてきた。


「今から攻撃を止めるからさ、先ずは空間魔法を解除してくれるかな?」

「判りました。だから助けてください!」


 私のブレードが止まったのを確認して、トラパーネは空間魔法を解除すると、その場に『ペタリ』と座り込んだの。当然だけど逃げるおそれがあるので、ブレードはトラパーネを囲んでいる。命を助けるかわりにどんな命令をするか考えていると、アニエラが『サラッ』と眷屬にする事を提案してきたの。


「面白そうな子だからさ、眷属にでもしちゃえばいいんじゃない?」

「おぉ、それは良いかもね。敵に回すと厄介だけど、仲間にいれば心強いと思うよ」

「う〜ん、眷属ねぇ〜」


 私達の話を聞いていたトラパーネは、両手で体を抱きしめながら『ガタガタ』と震えていたけど、アニエラの言った眷属の言葉を聞くと、地面に頭を擦り付けながら懇願した。


「眷属にしてください!扱いは奴隷でも構いませんから……眷属にしてください!」

「さっきまでの威勢の良さが消えたから、殺る気が失せちゃったから、眷属にする事で勘弁してあげるよ」

「あ、ありがとうございます。ご主人様!」

「えっと、眷屬にする前に簡単に説明するけどさ、私はスライムだけど吸血鬼ヴァンピールの始祖だからね」

吸血鬼ヴァンパイアではないのですか?吸血鬼ヴァンピールは知りませんでした」

「うん、新種だからね。寿命が1000年とか超えるけど大丈夫?」

「死にたくないので寿命が長いのは大歓迎です」

「じゃあ、眷属化するね」


 私は血液を凝縮させて【血晶石】を作ると、トラパーネの額に当てて押し込むと、トラパーネの瞳の色が緋色に変わったので、吸血鬼ヴァンピールになってるのか鑑定する。


「OK!これで私の眷屬になったよ。トラパーネよろしくね♪」

「ハルカ様、あなたに永遠の忠誠を誓います」

「あはっ、そんな堅苦しくしなくてもいいよ?」

「いいえ、眷属前とはいえハルカ様の命を奪うなどと言った事への戒めです」

「そぅ?まぁ好きにすればいいよ。トラパーネを倒した事になるから、次のエリアへ進めるんだよね?」

「はい、次のアンデットエリアへ進めます」

「次はアンデットなのか……臭うのかな?」


 アンデットと聞いて腐った死体が頭に浮かんだので、死臭がするのかと心配になる。その事については、トラパーネが笑顔で答えてくれた。


「死臭などはございません。白骨化した戦士や魔術士に魔物なのでご安心ください」

「おぉ~、それは良かったよ♪この迷路に詳しいトラパーネが仲間になって心強いよ、頼りにしてるからね♪」

「はい、ハルカ様の期待に必ず応えます!」


 迷路に詳しいトラパーネの案内で、次のアンデットエリアへと進んで行ったの。

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