第33話 偽装を求めてスラム街へ
私達は〚偽装〛スキルを求めてスラム街へ向かっていた。これだけ整備されたトーレス町に、負のイメージがあるスラム街なんて有るのかと思っていた。
「この町にスラム街があるなんてさ、ちょっと想像がつかないんだよね」
「ハルカはまだ町の全てを見てないからだよ。表と裏は必ず存在するんだよ。普段は清楚なハルカが夜になると淫らになるのと同じだな♪」
「ちょっと!声が大きい!」
「ははっ、ごめんごめん気をつけるよ(笑)」
綺麗に整備された道を進んで行くと、黒色通の土筋辺りから少しずつ雰囲気が変わり始める。
「ハルカ、雰囲気が変わった事に気づいたかい?もう少し南東へ進めばスラム街に入るよ。スリや強盗は当たり前の場所だから、この辺りから〚鑑定眼〛を使って〚偽装〛所持者を探すよ」
「うん、私は左を見ていくからさ、エリカは右を頼むね」
私とエリカは〚鑑定眼〛を発動させて、スラム街の中へ入っていく。朝っぱらから開店してる酒場や、きわどい服を着た娼婦が男を誘い込む娼館などが並んでいた。同じトーレス町の中にも表と裏があって、ここが裏の部分だとすぐに理解できたの。
そんな独特な雰囲気の道を進むと、木の切れっ端で組み立てられたボロ家が目立ち始める……
半裸の人達が死んだ魚のような目をして座ってる。私は思わず目を背けたくなり下を向くと、エリカが私の肩に軽く触れて話し掛けたの。
「背けないでしっかりと見るんだ!あたい達の住む場所を作るのなら特にね、表と裏をしっかりと受け止めんだ。あたい達の場所かこうならない為にはどうするかを考えるんだよ!」
エリカの真剣な口調に、思わず目を背けた自分を情けなく思いながら気持ちを切り替える。ちゃんとこの現状の全てを見て、私は必ずこんな場所を生み出さない場所を作るんだと……
「エリカありがとう。この現状の全てを見て必ず活かしてみせるね!」
「おぅ♪ハルカなら出来るぜ!」
そこからは目を背けずに全てを見ながら〚偽装〛所持者を探し続けた。珍しいスキルなので簡単には見つからないと思いながら歩いてると、女性の叫び声が聞こえたので、私達は声がする方を見た。
「嫌だよ!あんな豚男の相手は勘弁してよ!」
「お前は性奴隷として購入したんだ。言う事を聞かなないと罰を与えるが良いのか(薄笑)」
「そ、それだけは勘弁して……判ったから」
性奴隷として娼館で働く娼婦と経営者の揉め事のようだったけど、その経営者の所有スキルに〚偽装〛があったの!
「あの男が〚偽装〛を持ってるね」
「ハルカには見えるのかい?あたいには見えないって事は〚偽装〛を使ってるやがるのか。同じ〚鑑定眼〛なのにどうしてハルカだけ見えるんだ?」
私もエリカと同じ事を思った。その答えを
『〚鑑定眼〛にはレベルの概念はないんだけど、使い込む事で〚鑑定眼〛も成長するんだよ。ハルカの〚鑑定眼〛はエリカよりも使い込んでるからその違いだよ』
「なるほどね~、
「さぁ、お目当てのスキルを見つけたし、コピーじゃなくて奪っても良いよね?」
「あぁ、クズには勿体ないからね(笑)」
私達は娼館の経営者に近づいて話し掛けるフリをして肩に触れる。
「性奴隷とは言え、嫌な客の相手は可愛そうじゃないかな?」
『ハルカ、スキルを〚偽装〛強奪したよ』
強奪した事を確認すると、男が私の手を払って胸元に手を伸ばそうとした瞬間。
「うるせぇ!素っ裸にして娼館で使って……」
男が最後まで言葉を言う前に、アニエラが男の股間に手を伸ばして2つの玉を握り潰したの。
『グチャッ』「ぎゃあああ〜!」
「このクズが!ハルカに触れて良いのは私達だけなのよ!」
「ハハッ、あたいは竿をへし折るけど、アニー玉を砕くんだね(笑)」
「ハルカ〜、手が汚れたから洗って(笑)」
「はいはい、手を洗ったら帰るよ」
私達は目当ての〚偽装〛を手に入れたので、スラム街にいる用が無くなったので家へ戻る事にした。
そして、未だに道で失神してる娼館の経営者は〚偽装〛スキルと2つの玉を失ったの。
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