第95話 顔合わせ①
奴隷市場は大盛況で終了して、会場には商品を落札した者が支払いをする為に残っている。支払いは身分が上の者から順番になるので、平民の私は最後になる。
ペイトン侯爵は上位貴族なので、ガリーは別室へ案内されたようで姿は見当たらなかった。すると、マリベルが私の元へやって来て声をかけてきた。
「ハルカさん、お父様から伝言で、支払いを終えたら屋敷に戻って待ってるとのことです」
「判りました。支払いが済み次第に伺いますとお伝えください」
「はい、そのように伝えますね。では後ほどに」
マリベルからガリーの伝言を聞いた後も、順番が来るまで待っていると、ようやく支払いの順番が回ってきたので、別室へと案内された。
別室に案内されると、部屋には恰幅の良い男性が席の真ん中に腰を下ろしていた。斜め後ろには司会を務めていた男性がいて声をかけてきた。
「どうぞ席に着いてください。こちらが商品の契約書になるのでご確認ください」
「はい」
席に着くと、私の前に契約書が置かれたので、アネロが手に取って確認をすると『確認した』と伝えたので、私は契約書にサインをして男性に手渡す。
「不備はありませんね。ジュリアス様、こちらにサインをお願いします。ハルカ様はこちらへ購入代金となる金貨450枚を提出してください」
「うむ」
「かしこまりました」
私はトレーの上に金貨を乗せると、男性が枚数の確認を終えると『パチン!』と指を鳴らす。
『ガチャ』
私達が入った場所とは反対のドアが開くと、両手両足を拘束されたチルとピコリが、男に連れてこられた。男を鑑定すると隷属魔法の術者だったので、気づかれない程度の風魔法を男に当てて、隷属魔法をコピーした。
「こちらが購入された商品になります。胸元の奴隷印に魔力を流していただければ、契約の終了となります」
「はい」
私は2人の胸元にある奴隷印に触れて魔力を流すと、奴隷印が『スゥー』と消えた。
「これで商品はハルカ様の物となりました。こちらの契約書が証明書になるので、大事に保管をしてください」
「かしこまりました」
「今日は良い取引をしていただき誠にありがとうございました。またのご利用をお願いします」
「ありがとうございました」
支払いを済ませて、2人を連れて会場を後にすると、馬車に乗ってペイトン侯爵邸へ向けて馬車を走らせた。
馬車に乗ったチルとピコリは俯いたままジッとしてるので、私は2人の拘束具に触れて解除した後に優しく話しかける。
「はじめまして、ハルカだよ。私は奴隷として扱うつもりはないから安心してね。〚
私はそう伝えた後に、2人の奴隷印にを解除する〚隷属魔法〛を発動させて、2人を奴隷から解放したのだった。
「「!?」」
奴隷として購入されたのに、解放されたことでチルとピコリは驚いて声も出なかったのだった。
「驚く必要はありません。ハルカ様は人としてファミリアへ迎えてくださるのです。そのことに感謝してハルカ様の役に立つように」
「「ハルカ様に忠誠を誓います」」
トラパーネの言葉を聞いた2人は、奴隷という絶望から解放され喜びの涙を流しながら、私に忠誠を誓ったのだった。
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